スカイライン・クーペ 【2003,2004,2005,2006,2007】

世界に飛翔したスタイリッシュGT

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革新のクーペ。FMパッケージがすべての基本

 2003年1月にスカイラインのクーペが誕生する。V 35型セダンをベースに誕生したCPV35型である。
 CPV35型スカイライン・クーペは、すべてを一新した大人のGTモデルだった。21世紀の上級車のために日産が提唱する革新的なレイアウト、FMパッケージを採用。FMパッケージとは、最大の重量物であるエンジンを前車軸後方、すなわちフロントミッドシップに配置することを核に、シャシー、サスペンション、居住空間、ボディを最適にレイアウトする手法。理想的な前後重量配分により高度な操縦性とフラットでしなやかな乗り心地を実現する技術だ。

 スカイライン・クーペの場合、理想的な前後重量配分を実現したうえで、タイヤを大径化。ロングホイールベース設定により、ボディの無駄な動きを一掃していた。クーペの前後重量配分は53:47。路面を選ばない上質でスポーティーなフットワークには、FMパッケージのメリットが確かに生きていた。

海外市場ではインフィニティとして販売

 歴代スカイラインは基本的に国内専売モデルだった。しかし12代目のスカイライン以降はクーペ&セダンともに世界に輸出されている。輸出市場では、スカイラインを名乗らず、日産のプレミアム・ブランドであるインフィニティの主力モデルだった。

 スカイライン・クーペが登場した2003年当時、日本国内市場では、クーペや4ドアセダンと言った車種の人気は最低レベルだった。そんな時期に敢えて2ドアクーペの発売に踏み切ったのは、アメリカ市場では根強い人気があったからだ。インフィニティ・ブランドとして販売するアメリカでは2002年に先行デビューしたが、同年11月には、アメリカの自動車専門誌でカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。

6速MT仕様はブレンボ製強力ブレーキ採用!

 スカイライン・クーペのバリェーションは350GTおよび350GTプレミアムの2車種。駆動方式は縦置きエンジンによる後輪駆動で、セダンでは選べる4WD仕様の設定は無い。前車軸のさらに後ろに搭載されるエンジンは、V型6気筒DOHC、排気量3498ccのVQ35DE型で280ps/6200rpmの最高出力を持つ。

 トランスミッションは5速ATと6速MTの2種を組み合わせた。6速MT仕様にはブレンボ社製ブレーキやビスカスカップリングを用いたLSD、18インチのアルミホイールが標準装備となる。価格的にはオートマチック仕様の350GTのAT仕様の325万円から350GTプレミアムのMT仕様の356万円となる。装備の充実ぶりやメカニズムの充実ぶりを考えれば十分に魅力的な価格設定だった。

デザインはセダンと別物。“大人の高級GT”

 スカイライン・クーペはメカニズムのベースとなったスカイライン・セダンとはボディ外板などに一切の共用部分を持たない。徹底してオリジナリティを追及していた。大メーカーの生産するスペシャルティカーとしてはきわめて珍しいやり方であった。

 足回りは、前後のタイヤを常に垂直に保つことで、高い操縦安定性を実現した贅沢な前後マルチリンク方式。しかもアーム類を軽量かつ強靱な鍛造アルミ素材で仕上げていた。ドライバーの意思に忠実なハンドリングはスカイラインの伝統だが、スカイライン・クーペのこだわりは徹底していた。ダンパーも手が込んでいる。通常では吸収しにくい微振動まで制御し、しっとりとした乗り心地を提供するリップルコントロール式ダンパーを採用したのだ。徹底した空力対策も注目ポイントで、ボディ上面だけでなくアンダーフロア面も入念にデザイン。高速走行時にボディが浮き上がろうとする力(揚力)をゼロとするフロントゼロリフトを達成した。