ミラ 【1994,1995,1996,1997,1998】

脱軽自動車を目指した熟成の4代目



ファーストカーとして満足できるミラの創造

 ダイハツの主力軽自動車として幅広いユーザー層の支持を集めてきたミラは、1994年9月に第4世代に移行する。第4世代のミラは、普通車と同等の快適性&走り、そして上質さをセールスポイントにしていた。排気量やボディサイズ面で制約のある軽自動車ながら、ファーストカーとして満足できる高い完成度を目指したのである。

 1990年代半ばには日本のモータリーゼーションは成熟期を迎え、ミラなどの軽自動車は2台目のクルマとして選ばれるのが一般的になっていた。つまりミラを所有する家庭には、大型の普通車があった。4代目は、その普通車から乗り換えても違和感のないクルマに仕上がっていた。いわば“脱軽自動車”である。

ミラには軽自動車特有の安っぽさがなかった。塗装の鮮鮮性にはじまり、ドアの開閉音、集中ドアロックやパワーウィンドーといった快適装備、加速性や静粛性、はては衝突時の安全性にいたるまで、ミラの脱軽自動車化の取り組みは徹底していた。第4世代のミラは、マークIIなどの上級車から乗り替えても、見劣りしない“立派な軽自動車”だった。

新開発4気筒DOHC16Vを筆頭に多彩な心臓を設定

 立派なミラを代表するモデルが、新開発の直列4気筒DOHC16Vユニット搭載車だった。4気筒エンジンは電子制御燃料噴射装置仕様と、インタークーラーターボ仕様があり、JB-EL型を名乗る電子制御燃料噴射装置仕様で58ps/7600rpm、5.8kg・m/5600rpm、JB-JL型インタークーラーターボ仕様では64ps/7500rpm、10.2kg・m/4000rpmを発生した。4気筒エンジン車はカタログで「この走り、ミニを忘れそう。パワフル&サイレントな超・ミニ感覚の走りごこちです」と謳うなど、まさに脱軽自動車を目指していた。ちなみにインタークーラーターボ仕様は、とびっきりのスポーツモデル、TR-XXアバンツァートR専用ユニットとして設定された。

 主力となる3気筒エンジンも積極的なリファインが加えられ洗練度を増した。OHC12Vインタークーラーターボ仕様(64ps)を筆頭に、OHC12V電子制御燃料噴射装置仕様(55ps)、OHC6V電子制御燃料噴射装置仕様(42ps)、OHC6V電子制御キャブ仕様(40ps)、OHC6Vキャブ仕様(40ps)まで5種類ものエンジンをグレード別に用意し、きめ細かくユーザーニーズに応えたのも特徴だった。まさにフルラインアップである。

張りのあるボディ面で高い質感を表現

 スタイリングはオーソドックスな2BOXスタイルで、とくに目新しい印象はなかった。しかしボディ面に適度な張りを持たせ、エッジ部を柔らかな曲面仕上げとすることで重厚な印象を演出する。ボディタイプは3&5ドアセダンと、3ドアバンの3種で、フルエアロパーツを装着するスポーティモデルのTR-XX系は3ドアセダンのみとなる。

 室内では大型のメータークラスターと大型サイズのフロントシートが、脱軽自動車を感じさせた。計器類と空調ルーバー、オーディオなどを整然と収めたインスツルメントパネルはボリューム感があり、作りも上質だった。シートもクッションの厚みを実感できる作りとなっており、とくにスポーティグレード用のバケットシートは肩回りまでサポートする立派なデザインに仕上げていた。
 装備はまさに至れり尽くせりだった。上級グレードではエアコン、パワーステアリング、FM付きステレオオーディオ、パワーウィンドー、集中ドアロック、キーレスエントリー、電動格納ドアミラーなどをすべて標準装備。2.0リッタークラスと同等のフル装備状態だった。

鮮烈パワーをフルに路面に伝えたTR-XXの足回り!

 サスペンションにもこだわりがあり、FFモデルがフロント・ストラット式、リアがセミトレーリングアーム式の4輪独立。4WD仕様ではリアが5リンク式のリジッドとの組み合わせだった。ブレーキはベーシックグレードを含め、フロントにディスクを奢り、TR-XXのアバンツァートRではフロントがベンチレーテッドタイプの4輪ディスクを採用する。

 TR-XX系の足回りは、64psパワーをフルに路面に伝えるため、ガス封入式ショックアブソーバーや前後スタビライザーを装着したハード仕様が奢られた。なかでもアバンツァートRにはフロント前後に剛性を高めるパフォーマンスロッドを装着、リアにはトー変化を抑制するトーコントロールアームを装着するなど入念なチューンが施されていた。ドライブシャフトは加速時のトルクステアを防ぐ等長タイプ。タイヤ&ホイールも60偏平のワイドタイヤと4.5Bサイズのアルミ仕様と本格的。TR-XXのカタログではサーキットを疾走する姿をメインビジュアルに使用していたが、スポーツ走行への備えが万全な生粋のスパイシーモデルだったのである。
 4代目のミラは、コンパクトな魅力と、持つ喜び、そして快適な走りを高次元で融合したスーパーミニだった。セカンドカーとして購入したつもりが、いつのまにかファーストカーになっている、そんな存在だった。