ティアナ 【2003,2004,2005,2006,2007,2008】

造形センスが光る上級スタイリッシュサルーン

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ローレルとセフィーロの後継モデルとして誕生

 2002年8月に生産を中止したローレルと、同年12月で生産を中止したセフィーロが担っていた日産のアッパーミドル及びミドルクラスのジャンルを埋めるために開発された新型サルーンがティアナである。車名のティアナ(Teana)とは、ネイティブアメリカンの言語で「夜明け」の意味がある。新生日産の夜明けにふさわしいネーミングだった。

 ティアナは、2つのセグメントを兼用する必要から、ボディサイズも中間的なものとされた。ホイールベースは2775mmで、セドリック/グロリアに近いものであり、4770mmの全長や1765mmの全幅などは最後期型のローレルやセフィーロとオーバーラップするものとなっている。アッパーミドルクラスのボディサイズとしては、上限とも言える伸びやかなサイズ設定だ。スタイリングは、この時期に日産が使い始めたショートデッキ型の6ライトセダンで、空気力学的に吟味された曲線を多用したデザインとなっている。ラジアエターグリルやヘッドライトなどは、ボディの面に同一化されており、ボディ全体がひとつの彫刻のように、一体感を感じさせた。

室内はモダンリビングをイメージに造形

 ティアナの5名の乗員に十分なスペースを持ったインテリアは、広告宣伝に用いていた「クルマにモダンリビングの考えを」というキャッチフレーズをそのまま具体化したデザインで、モダンな感覚でウッドパネルとシルキーな素材を巧く使ってまとめられている。インスツルメンツパネルやドアの内装、シート形状などは、シンプルな中にも独特の高級感を持ち、時代の流行を反映したものとなっていた。この手法は、後にデビューするブルーバード シルフィなどにも大きな影響を与えた。

 ローレルやセフィーロ、セドリック/グロリアと大きく異なるのは、当初からフロント横置きエンジンによる前輪駆動方式の採用を前提に開発が進められていたことである。セフィーロは1994年8月にデビューした第2世代のモデルから前輪駆動となっていたが、アメリカがメイン市場のマキシマをベースとして国内向けに仕様変更したモデルであった。国内そしてアジア市場をメインに据えた上級サルーンで前輪駆動を採用したのはティアナが最初だった。

FFモデルにはV6ユニット搭載

 搭載されるエンジンは日本市場向けには3種あり、排気量2349ccのV型6気筒DOHC(VQ23DE型、出力173ps/6000rpm)を中心に、4輪駆動モデル向けには排気量2488ccの直列4気筒DOHC(QR25DE型、出力160ps/5600rpm)、さらに排気量3498ccのV型6気筒DOHC(VQ35DE型、出力231ps/5600rpm)である。ちなみに海外市場向けには排気量1998ccの直列4気筒DOHC(QR20DE型、出力150ps/6000rpm)も用意されていた。

トランスミッションは3.5LモデルにはエクストロニックCVT(6速マニュアルモード付き)が組み合わされ、他は電子制御4速オートマチックであった。サスペンションは前がストラット/コイルスプリング、後ろはマルチリンク/コイルスプリングの4輪独立懸架である。ブレーキは4輪ディスクでサーボ機構を持つ。ABSなど安全装備も万全である。

アジア各地で販売を行う

 2004年6月から中国市場での販売が始まり、同年12月には韓国での販売が開始され、さらに2007年4月からはインドでの販売が始まるなど、ティアナは日本国内はもとより、中国やアジア地域を中心とした市場展開に重点が置かれることになった。とくに中国市場では現地生産が必須であった関係で、現地の東風自動車と日産との合弁会社である東風汽車有限公司での生産となっている。また、デビューした2003年には日本カー・オブ・ザ・イヤーの特別賞を受賞した。

 ティアナは2003年2月のデビューから2年10カ月の2005年12月にマイナーチェンジを実施する。メカニズム上での変更はなく、内外観の手直しが主な改良ポイントだった。フロントグリル、フロントバンパー、リアバンパーのデザインを変更し、プロジェクタータイプのヘッドライトや、LED式リアコンビネーションランプを採用するなど、エクステリアの印象をフレッシュに一新。インテリアでは、ドアトリムに手触りの良い成型クロスを採用し、ドアスイッチ部を照らすLED間接照明を追加するなど、上級感を演出していた。また、メーターのデザインや配色を変更や、運転席オートドライビングポジションシートの採用(上級グレード)など、装備の充実も図った。 
 ティアナは、フランスのルノー社との資本提携など新しい体制へと移行した日産を代表する高級車として発展する。