2011東京モーターショー/トヨタ 【2011】

「FUN TO DRIVE,AGAIN.」をテーマにした珠玉のコンセプトカー群

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クルマのもつ夢と楽しさを改めて提案

 2011年11月に開幕された第42回東京モーターショーにおいて、トヨタ自動車は「FUN TO DRIVE,AGAIN.」というメインテーマを掲げた。クルマのもつ“夢・楽しさ”を改めて考え、未来のモビリティ社会をリードする新たなモデル群を提案するのが狙いだ。

 注目の出展車を見ていこう。メインモデルが、ヒトとクルマと社会が“つながる”20XX年の未来を具現化したコンセプトカーの「Fun-Vii」である。その中身は ①内外装の表示項目を自在に変更するパーソナライズ機能を強化したうえで、ボディ全面をディスプレイ化して多彩な表示機能を実現 ②駆動系/制御系/マルチメディア系の各種ソフトウェアをネットワーク経由でアップデート ③周辺の車両やインフラとつながることにより安全性の向上とコミュニケーション機能の強化を達成 ④車内全体をディスプレイ化したうえでAR(拡張現実)を活用したナビ情報等も表示。さらに“ナビゲーションコンシェルジュ”との対話形式インターフェイスも採用、といった点が特長。会場ではディスプレイ化されたボディに映し出される鮮やかな映像に観客の視線が集まった。

 新開発の次世代動力源を搭載する出品車も脚光を浴びる。家庭用電源などから充電ができるプラグインハイブリッド車の「プリウス・プラグインハイブリッド」、水素エネルギーを活用する燃料電池自動車の「FCV-R」、超小型軽量パッケージを採用する電気自動車の「FT-EV Ⅲ」の3モデルだ。多彩な動力源を使って次世代エコカーを造る--トヨタの技術力の高さと強力な資本力を改めて実感させるラインアップである。

運転する楽しさを徹底追求した小型FRスポーツの「86」

 第42回ショーにおいて、トヨタは富士重工業と共同開発したスポーツモデルのプロトタイプも雛壇に乗せる。“直感ハンドリングFR”をコンセプトに企画された「86(ハチロク)」だ。軽量かつコンパクトなFRプラットフォームにフロントミッドシップ配置されたD-4Sエンジン(1998cc水平対向4気筒直噴DOHC)、そして低重心のパッケージと機能美を追求した内外装デザインを内包する86は、国産車で久々の新しい小型FRスポーツであった。

 スポーツモデルを公開する一方、トヨタはより多くのユーザーに向けた新エコカーも披露する。コンパクトクラスのハイブリッド専用モデルとなる「アクア」だ。4mを切るコンパクトな全長に全高を抑えて空力性能を高めたボディを採用するアクアは、動力源に1.5L エンジンと高出力モーターを搭載。燃費はJC08モード走行で35.4km/Lを達成する。さらに、ハイブリッドシステムの小型化や車両全体の低重心化を図り、“操る楽しさ”や“フットワークの良さ”も実現した。

 ワールドプレミアを果たした意欲作の2台は、後に相次いで市場デビュー(アクアは2011年12月、86は2012年4月より発売)。各カテゴリーのヒット作に成長することとなった。

レクサスブースの主役は「GS」と「LFA」

 トヨタブースの横には、トヨタのプレミアムブランドとして名を馳せるレクサスのブースが設けられた。第42回ショーでの主役は2モデル。フルモデルチェンジを果たした「GS」と、フラッグシップスポーツの特別仕様車となる「LFA ニュルパッケージ」だ。

 日本では第2世代(北米仕様では第4世代)となるGSは、このクルマの基本要件である“グランドツーリングセダン”としての飛躍的進化を目指して開発。内外装については次世代レクサスの象徴である“スピンドルグリル”の採用や室内スペースの最大化、世界初となる12.3インチワイドディスプレイの組み込みなどで存在感と機能性を大幅アップした。さらに、最上級のGS450hには最先端のハイブリッドシステム(次世代“D-4S”2GR-FXE型エンジン/2段変速リダクション機構付き専用トランスミッション/新パワーコントロールユニット/2段積みハイブリッドバッテリー等)を搭載した。

 一方のLFAニュルパッケージは、標準仕様に対してサーキット走行に一層の軸足を置いたスペシャルモデルである。車名はLFA開発の舞台となったニュルブルクリンクへの敬意と感謝の意を込めて命名された。外装は標準のLFAをベースにCFRP(カーボン繊維強化樹脂)製フロントスポイラーや固定式リアウィング等の装着により空力性能の向上を実現。同時に、専用チューニングのサスペンションやホイールなどを組み込んで操縦性の引き上げを図る。4.8l ・V10エンジンについては、フリクションロスを低減するなどして最高出力を571ps(標準は560ps)にまでアップさせた。
 レクサスブースのダブル主演は翌2012年に市場デビューを果たし、大好評をもってユーザーに受け入れられたのである。