アウトランダーPHEV 【2012〜】

地球環境に優しい“自分で発電する電気自動車”

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EVの弱点を解消した未来派エコカーの誕生

 地球環境保護の観点から、クルマはCO2削減が急務の課題となっている。そのため従来からのガソリン&ディーゼル内燃機関のリファインはもちろん、ハイブリッド、電気自動車(EV)、水素燃料電池式電気自動車(FCEV)の開発など、次世代パワーユニットについてのさまざまな取り組みが行われている。そんな中で、近未来の理想的な自動車として注目を集めているのが三菱アウトランダーPHEVである。

 2012年12月に正式発表され、2013年1月から正式受注がスタートしたアウトランダーPHEVは、EV派生型のプラグインEVシステムを搭載した、“自分で発電する電気自動車”である。日常は環境に優しいEVとして走行し、遠出ではモーター主体のハイブリッドに自動的に切り替えることでEVの弱点である短い航続距離を克服した。システムはツインモーター+エンジンの4WDハイブリッドシステム。フロントに82ps/14kg・m、リアは82ps/19.9kg・mの出力/トルクを誇るモーターを備え、1998ccの直列4気筒DOHC16V(118ps/19kg・m)のエンジンと組み合わせる。駆動用バッテリーは大容量リチウムイオン式で床下に搭載している。

3種の走行モードを自動選択し897kmの航続距離を実現

 初期型アウトランダーPHEVのピュアEVとしての航続距離は60.2km(JC08モード)。ハイブリッド車としての航続距離は897km(JC08モード)に達する。具体的な走行モードは、走行状況やバッテリー残量に応じて自動的に切り替わる3パターンだ。基本はモーターで走行するEVモード、次にエンジンで充電を行いモーターで走行するシリーズ・ハイブリッドモード、さらにエンジンとモーターの出力で走行するパラレル・ハイブリッドモードがある。

 EVモード時のCO2排出量はゼロ。モーター特有のトルクフルな加速が味わえ、トップスピードも120km./hに到達する。エンジンで充電するシリーズ・ハイブリッドモードは、駆動用バッテリーの電力量が低下した場合や、急加速や登り坂など、通常以上に力強い走りが必要なときに選択される。一方、パラレル・ハイブリッド走行モードはエンジンの駆動力が主体となりモーターがアシストするモード、CO2は相応に排出されるが、エンジン効率に優れた高速走行時などに選択されるため、通常の内燃機関車と比較するとCO2排出量はぐっと抑えられる。

 アウトランダーPHEVの価値は、電力の積極的な活用、効率の高い領域でのエンジン走行、減速時の積極的なエネルギー回生によりCO2の排出を抑制すると同時に、クルマとしてのトータルな利便性を高めた点にある。ちなみにプラグインハイブリッド時の燃料消費率(複合燃料消費率)は67km/L(JC08モード)に達し、ハイブリッド時の燃料消費率も18.6km/Lをマークする。アウトランダーPHEVの環境性能は、掛け値なく世界最高レベル。これがプロトタイプモデルではなく、通常の市販モデルなのだ。日本の高い技術力を証明する1台である。

緊急時の電源ライフラインとしても使える設計

 アウトランダーPHEVは、実際の走行フィールも優れている。走りは全域で静粛にしてスムーズ。各走行モードの制御は見事で、たとえエンジンが始動しても振動や騒音は高まらない。駆動用バッテリーを床下に搭載した効果で重心位置が下がり、安定したフットワークを見せるのもプラスポイントになる。i-MiEVで得たEVについての豊富なノウハウを存分に生かして完成させたのがアウトランダーPHEVであることは、乗ると即座に実感できる。まさに未来を先取りしたクルマである。

 アウトランダーPHEVは、大容量バッテリー搭載車ならではのユーティリティも備えている。車内には100VのAC電源ソケットを2個用意。最大1500Wまで出力が可能なため通常の家庭用電気製品が使用可能だ。バッテリーのみで一般家庭の電力消費量の約1日分を賄うことができ、エンジン発電を含めると最大で10日分相当の電力供給が可能だ。アウトドアレジャーはもちろん、緊急時の電源ライフラインとしても頼りになる存在である。

 バッテリーへの外部充電は家庭用AC200V、またはAC100Vによる普通充電と、オプションとなる急速充電機能の装着により急速充電に対応する。急速充電の場合、80%充電に要する時間は僅か30分、AC200VとAC100Vでは満充電までそれぞれ4時間、13時間を必要とする。ちなみにアウトランダーPHEVは、ピュアEVとは異なり、自身のエンジンでも充電可能だから、出先で充電ポイントを探す必要は不要だ。