レガシィ・ランカスター 【1998,1999,2000,2001,2002,2003】

3代目レガシィをベースとしたクロスオーバーSUV

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クロスオーバーSUVとしての独自性の強化

 富士重工業はステーションワゴンとSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)をクロスオーバーさせたモデルとして、1995年8月にレガシィ「グランドワゴン」を発売する。1997年8月には内外装のデザインや一部メカニズムをリファインした「ランカスター」に発展。また、海外市場ではシリーズを通して「アウトバック」の車名で販売した。

 レガシィ・ツーリングワゴンやフォレスターとはキャラクターを異にする上級万能車のクロスオーバーSUVとして確固たる地位を築いていったランカスター。2代目の開発にあたって、ベースとなる次世代レガシィがワゴンを主体とした設計になることがプラスに作用した。ランカスターはクロスオーバーSUVならではの独自性をいっそう強調する。

最低地上高200mmを確保しながら全高を1550mmに抑制

 2代目ランカスターのパッケージングについては、ベース車のレガシィ・ツーリングワゴンのボディを活かし、よりバランスのいい前後重量配分と高い安全性、そして優れたワゴンユーティリティ(使い勝手とスペース性)を実現する。また、オフロードにおける必要十分な走破性を発揮するために最低地上高は200mmを確保。そのうえでボディ高は、ほとんどの立体駐車場に入庫可能な1550mmに抑えた。エクステリアに関しては従来の重厚感と存在感、ダイナミックな躍動感を踏襲しながら、より洗練されたSUVスタイリングに昇華させる。フェンダーやドアパネル下部には傷付きや錆の発生を防ぐ樹脂製のサイドクラッディングを新採用。また、力強くスポーティな造形にアレンジした専用の大型バンパーを装着する。さらに、空力性能の向上や風切音の抑制を図る目的でダイレクトタイプのルーフレールやフラッシュサーフェスのサイドウィンドウを組み込んだ。

 インテリアは新型レガシィに採用する逆L字型インパネやドライバー側にオフセットしたセンターパネル、大きくて見やすい4連式メーターパネル、新設計の人間工学シートを基調に、カラーリングや加飾などによって上級SUVらしいオリジナリティ性を演出する。ステアリングはウッド&本革巻きのMOMO製を装着し、センター部には木目調パネルを貼付。シート地はチェックファブリック/プロテインレザー&スエードトリコットが標準で、オプションとしてベージュ色のレザーを設定した。また、荷室部には新設計のファンを内蔵したカーゴファンを装備。作動時の静粛性と換気能力の向上を成し遂げた。

エンジンはトルク重視の設定

 搭載エンジンは可変バルブタイミング機構のAVCSや新吸気ポートを組み込んだ改良版のEJ25型2457cc水平対向4DOHC16V(167ps/24.0kg・m)を採用する。組み合わせるトランスミッションは専用セッティングのデュアルレンジ5速MTと電子制御4速ATの2機種を設定。駆動システムにはミッションやプロペラシャフトなどを一直線に、かつ左右対称にレイアウトした“シンメトリー4WD”を採用し、MTはビスカスLSD+センターデフ式フルタイム4WDで、ATはアクティブトルクスプリット式フルタイム4WDで仕立てた。サスペンションはSUV向けに専用チューニングを施した前マクファーソンストラット/後サブフレーム付マルチリンクをセットし、リアダンパー内部にはポンプ機構を備えたセルフレベライザーを組み込む。また、ブレーキには大容量タンデム倍力装置を備えた4輪ディスクを、装着タイヤにはクルマのキャラクターに合わせた215/60R16サイズを採用した。

“ADA”の採用とフラット6エンジンの搭載

 第2世代となるレガシィ・ランカスターは、3代目レガシィ・ツーリングワゴンとともに1998年6月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは“SUV新世界基準”。SUVの新しいあり方を示す、たくましくてしなやかな新オールラウンドカーである事実を主張した。

 デビュー当初は単一グレードの展開だったランカスターは、1999年9月になると「ランカスターADA(Active Driving Assist)」と呼ぶ新車種を追加する。ドライバー支援システムのADAは、フロントウィンドウ内側に設置した2基のCCDカメラから得た立体画像情報をコンピュータでリアルタイムに処理して周囲の状況を認識。さらに、ナビゲーションシステムから得られる道路状況、車両姿勢制御を行うVDC-4WDから得られる走行状態情報などと合わせてクルマの状況を総合判断する仕組みだ。機能としては、車線逸脱警報/車間距離警報/車間距離制御クルーズコントロール/カーブ警報およびシフトダウン制御という4つで構成された。ADAは現在のアイサイトの原型だった。

 2000年5月には最上級グレードの「ランカスター6」がラインアップに加わる。搭載エンジンは新開発のEZ30型2999cc水平対向6DOHC24Vユニット(220ps/29.5kg・m)で、計3個の触媒をセットして平成12年基準排出ガス50%低減レベルをクリア。機能面の充実も図り、機械式可変マフラーやアダプティブ制御式E-4AT、ラックススエード表地シートなどを標準で装備した。
 上級クロスオーバーSUVとしての認知度を大いに高めた2代目ランカスターは、2003年10月になると全面改良を実施。車名を全世界統一の「アウトバック」に改称した実質的な第3世代に移行した。