ラピュタ 【1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005】

スズキKeiのOEM車として登場した“夢の浮島”

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OEM供給で軽自動車の車種設定を拡充

 米国フォードの子会社となることでバブル景気崩壊からの経営再建を図っていた1990年代後半のマツダは、軽自動車が新規格に移行するのに合わせて、新たな戦略に打って出る。業務提携を結んでいたスズキからの軽自動車のOEM供給を、拡大展開させたのだ。

 それまではスズキから部品の供給を受け、独自のボディを被せていた軽乗用車のキャロルは、スズキ・アルトのOEM車へと変更。スズキ・ワゴンRのOEM車であるAZ-ワゴンも新世代に切り替える。さらに、スズキ・ジムニーのOEM供給を受けてAZ-オフロードとして新規にリリース。そして、ライト級SUVの性格をもつ新ジャンル軽自動車のスズキKeiのOEM供給も受けて、「ラピュタ」という専用ネーミングをつけて市場に放った。

“夢の浮島”の車名を冠して市場デビュー

 ガリバー旅行記に出てくる夢の浮島=LAPUTAに由来し、“楽しい”“スポーティ”“軽快な”などをイメージして命名したマツダ・ラピュタは、1999年3月に発売される。ボディタイプはKeiと同様に3ドアハッチバックと5ドアハッチバックの2タイプを設定。車種展開は3ドアのSとX、5ドアのSとX、Gという計5グレードで構成し、全タイプで2WD(FF)とロータリーブレードカップリング式フルタイム4WDを設定していた。

 内外装については、エンブレムを除いて基本的にKeiと共通で、個性的で明快かつ強い存在感を放つエクステリアや乗り降りしやすく運転もしやすいシートポジション、大容量ラゲッジボックス(34L)をはじめとする豊富な収納スペースを訴求点としていた。
 搭載エンジンはSグレードにK6A型658cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボ(64ps/10.8kg・m)を、X/GグレードにF6A型657cc直列3気筒OHCインタークーラーターボ(60ps/8.5kg・m)を採用する。トランスミッションは、3ドアのXグレードに5速MTと3速AT、5ドアのXグレードに5速MTと4速AT、GおよびSグレードに4速ATを設定。サスペンションは前マクファーソンストラット/後I.T.L.(アイソレーテッドトレーリングリンク)。165/70R14サイズの大径タイヤが生み出す高い地上高(4WD 185mm、2WD 175mm)によって優れた走破性を実現した。

安全機構の充実もラピュタのアピールポイントで、軽量衝撃吸収ボディやサイドインパクトバーなどの採用のほか、ブレーキアシスト付き4W-ABS/運転席&助手席SRSエアバッグ/プリテンショナー機構付きフロントシートベルトといったアイテムを標準で装備していた。

ファイブポイントグリルに変更してマツダ車を主張

 マツダの軽OEM車のなかでも異彩を放ったラピュタは、デビュー後も改良を着実に実施していく。
 1999年10月には最初のマイナーチェンジを実施し、シート表地や内装デザインの変更、MT車へのクラッチスタートシステムの組み込み、SグレードへのNS(ニュートラルスリップ)制御4速ATの採用などを行う。2000年に入ると、2月に特別仕様車のXホッパーを、6月にFun2エディションを発売。10月にはマイナーチェンジを敢行し、マツダ車のアイデンティティである“ファイブポイントグリル”および大型マルチリフレクターヘッドランプを採用したほか、ボディタイプの5ドアへの集約やグレード体系の見直し(F6Aターボエンジン搭載のXG/XE、ローダウンサスペンション+F6Aターボエンジン搭載のSF、ローダウンサスペンション+K6Aターボエンジン搭載のS、K6A自然吸気エンジン搭載のXE)などを行った。

 2001年4月には一部改良を実施し、インパネのデザイン刷新や64km/hオフセット前面衝突対応の軽量衝撃吸収ボディの採用、優および良−低排出ガス認定の取得を行う。11月にはキーレスエントリーのアンサーバック方式をハザードランプ点滅に変更するとともに、装備の充実化や新ボディ色のレイクブルーメタリックの設定などを実施。2002年になると、4月にXEグレードの4速AT車の超−低排出ガス認定の取得を、7月に特別仕様車のXEリミテッドの発売を、11月にSターボ(Keiワークスに相当)の設定をはじめとする車種構成の変更や装備内容の刷新などをメニューとする一部改良を行った。
 マツダの軽自動車ラインアップのなかで独特の地位を築いたラピュタは、2005年12月に販売を終了。6年9カ月に渡った車歴に幕を閉じたのである。