サニー1200トラック 【1971,1972,1973,1974,1975,1976,1977,1978,1979,1980,1981,1982,1983,1984,1985,1986,1987,1988,1989,1990,1991,1992,1993,1994】

走りのいい軽量ピックアップ

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サニーのスタイリッシュトラック

 1971年1月に登場したサニー1200トラックは、優れたパフォーマンスでユーザーを魅了する。その秘密は素性の優れたA12型パワーユニットと、軽量ボディ、そして4速トランスミッションの絶妙なハーモニーが実現したものだった。レースシーンでも大活躍したA12型エンジンは、機構的には何の変哲もないOHVレイアウトのエンジンである。しかし高回転までスムーズさを失わないバランスのよさと、必要十分なパワフルさを持っていた。68ps/6000rpmのスペック以上に刺激的な心臓だったのだ。しかもボディ重量は僅か670kg。現代の軽自動車よりも大幅に軽かったからパフォーマンスは抜群だった。

 フロアシフト仕様の4速ミッションのファイナル比はセダンよりひとまわり低い4.111。したがって加速力はセダン以上に鋭かった。信号からの発進加速では、ひとクラス上のスポーツモデルと同等のダッシュを誇った。サニー1200トラックは本来何の変哲もない商業車である。しかし長年に渡って多くのユーザーに愛されたのは、優れたパフォーマンスという大きな魅力があったからだった。

スタイリングはアメリカンピックアップが先生!?

 スタイリングは、アメリカで流行した乗用車ベースのピックアップのデザインを参考にしたもの。GMのシヴォレーではエル・カミーノ、フォードではランチェロなどと呼ばれたモデルである。

 1.2L前後のエンジンを搭載するボンネット・タイプの小型トラックは、サニー・トラックとトヨタのパブリカ・ピックアップの2種くらいしか存在せず、販売シェアは、手軽な小型トラックとしての実用性を十分に備えていたサニーのほぼ寡占状態だった。サニーの特徴はビジネスユースだけでなく、大きなオープン・タイプのラゲッジスペースを備えた2シーターRVとして、レジャー指向の強い、たとえばサーフィンなどを楽しむ若者にも大きな人気を集めたことである。

標準とロングの2タイプを設定

 サニー1200トラックは、初代の1000トラックと同様モノコックボディを採用していた。そのためキャビン部分とカーゴ部分が一体デザインとされスタイリッシュだった。フレーム構造だった兄貴分のダットサン・トラックと比較してスマート(そして軽量)だったのは、モノコックボディ採用のメリットだった。

 フレーム構造のほうが強度的に優れ、しかもカーゴ部分をいろいろな仕様に変化させやすい利点を持っていたが、もともとカーゴ部分の広さが限られていたサニーは、トラックとしての適性よりも乗用車としての適性を重視していた。基本バリエーションは荷室長1565mmの標準ボディと、荷室長1860mmのロングボディ(1973年5月登場)の2種。ロングボディは荷室の延長に対応して専用の2分割式プロペラシャフトを採用し、高速走行時の振動や騒音を抑えていた。

最終モデルは角型ライト&ディスクブレーキ採用

 この種の使用目的がはっきりとしたクルマにとっては、目先の新鮮さを追い求めるモデルチェンジは全く意味がない。サニー1200トラックは、1994年まで大きなモデルチェンジなしに生産された。もちろん時代の変化に対応しての改良は行われた。そのなかで最も大きな変化はモデルライフの最後に行われた1988年10月のリファインだった。ヘッドランプを丸型から角型に変更しイメージを一新すると同時に、ディスクブレーキ&ラジアルタイヤの採用で走行安定性をリファイン。エンジンも昭和63年度排出ガス規制に対応させるため電子制御キャブレター&三元触媒&混合比フィードバックシステムを組み込んだ。その結果、A12型ユニットの最高出力は52ps/5400rpmにダウンしたが、これは最高出力の計測方法がグロスからネットに変化したことも影響していた。実質的な性能ダウンはそれほどなかったと推測できる。ちなみに車重はこのモデルでも720kg(標準ボディ)と超軽量。サニー1200トラックのアイデンティティである軽快な走りは健在だった。