レガシィB4 【2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009】

技術者魂を凝縮したスポーツセダン

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新しいクルマ造りの積極的な実践

 2003年5月レガシィは4代目となるツーリングワゴンとB4と呼ばれる4ドアセダンを発表する。プラットフォームから全くの新開発となり、構成部品の80%以上が新規開発のものとされた。
 シリーズに搭載されるエンジンはSUBARUブランドの伝統である水冷水平対向4気筒、仕様によってDOHCとSOHCを使い分けている。出力はターボチャージャーを装備する280ps/6400rpmを頂点に、最もベーシックなSOHCの140ps/5600rpmまで5種があった。駆動方式はシンメトリー4WDと呼ぶ縦置きエンジンによるフルタイム4WDシステムを採用。レガシィ・シリーズは全車種フルタイム4輪駆動システムを装備することになった。トランスミッションは4速オートマチックと5速マニュアルで、モデルによって選択出来た。

 4WDシステムは、2WD比べて重量増加は避けられないのだが、レガシィでは駆動メカニズムの重量増を他の部分の徹底した軽量化でカバーしていた。これも新しいクルマ造りの手法と言って良い。レガシィを頂点とするSUBARUブランドは、WRC (世界ラリー選手権)での好成績なども手伝って、ヨーロッパやアメリカでもその名が知られるようになっていた。4代目は、ワールドモデルに相応しい骨太の作りになっていた。

走りのセダンの地位を確立

 初代、2代目のレガシィにも4ドアセダンは設定されていたが、B4という独自ネームを名乗るようになったのは3代目からだった。かつて4ドアセダンはクルマの王道的なボディタイプだったが、1990年代も後半に入るとワゴンやミニバンが台頭、どのメーカーもセダンの販売不振にあえいでいた。SUBARUも例外ではなく、2代目レガシィのツーリングワゴンとセダンの販売比率は93.7%対6.3%。圧倒的にワゴンが主役だった。レガシィの開発陣はセダンにもツーリングワゴンと同様に、明確な個性が必要と判断。走り好きのスタッフ揃いらしくセダンを“超一級スポーツセダン”に仕上げることを決定する。想定イメージはBMWなどと同等のプレミアムスポーツだった。

 新たにB4のサブネームが付いたセダンは、パワフルなターボを主体としたラインアップとなり、あえてベーシックなグレードを整理していた。B4はワゴン以上にピュアな走りを満喫するための存在、というキャラクターを明確にしたのだ。この戦略はマニアの共感を生んだ。3代目のツーリングワゴンとB4の販売比率は70%対30%。まだまだワゴンが主体とはいえ、B4も独自のポジショニングを獲得。今回の主役である4代目では、さらに存在感を明確にした。

開発キーワードは「楽しいか」「美しいか」「感動するか」

 水平対向ボクサーエンジン&4WDシステムというコア技術を先代から継承した4代目レガシィの開発コンセプトは「走りと機能、そして美しさの融合」。開発陣はスペックだけでなく数字の先にあるもの、ユーザーが進化を実感できることを目標にトータルなポテンシャルアップを目指した。具体的な判断基準は「楽しいか?」「美しいか?「いかに感動を呼び起こすことができるか?」だったと言う。いうなれば開発陣の愛情とこだわりが4代目レガシィを生んだのだ。

 4代目レガシィは3代目と比較して大幅な重量低減に成功している。これも軽さがもたらす走りや燃費などのプラスがユーザーに大きなメリットをもたらすという技術陣のこだわりが達成した成果だった。各種安全基準の見直しなどもあり、開発当初4代目の車両重量は150kg増と試算されていた。しかし4代目は3代目と比較して大幅な軽量化を実現した。アルミ部材の大幅採用や、設計リファインによって達成されたもので、ボディ関係で60kg、構造で24kg、エンジン単体で20kg、内装で20kgの軽量化を達成。軽量化は4代目レガシィに新たな走りをもたらす原動力となった。

造形はエモーショナルな表現をプラス

 歴代レガシィのデザインを象徴するキーワードは“機能美”。パッケージングやメカニズム自体が醸し出す虚飾を排した自己主張が、レガシィ独自のスタイリングを創造し、個性を形成していた。技術指向のスバルらしいアプローチだが、4代目は機能美に加え“エモーショナル”な要素をプラスしたのがポイントだった。これには3代目まで日本の5ナンバー枠内の小型車規格でデザインしていたのを打ち破り、4代目が3ナンバーの国際サイズに成長したことも影響を与えていた。

 サッシュレスドアや大きなグラスエリアというレガシィの個性を継承しながら、各ボディパネルに十分な張りを与え、しかもボディの四隅にしっかりとタイヤが踏ん張る安定感のあるプロポーションを与えることで新たなデザインテーストを実現したのだ。空力対策もきめ細かくなっておりボディ表面のフラッシュサーフェス化はもちろん、ユーザーの目に触れないアンダーボディまで空力対策を徹底。クラストップ級のエアロボディに仕上げていた。4代目レガシィのスタイリングは、機能に裏打ちされたエモーショナルな表現が新鮮さとプレミアムさを実感させる要素となっていた。