カローラII 【1982,1983,1984,1985,1986】

ヤング・アット・ハートなFF+2BOX



若者をターゲットとしたカローラの弟分!

 1980年代に入るとクルマはステータスシンボルから、アクティブなライフスタイルをサポートする相棒になってきた。とくに若者にとってクルマは身近な憧れであり、欠かせない宝物となった。その流れをリードしたのがFFレイアウトと2BOXスタイルを持ったVWゴルフであり、1980年に登場したFFファミリアだった。キビキビとした走行感覚と、高いユーティリティ、さらにシンプルさを象徴するFFレイウト&2BOXスタイルに当時の若者は熱狂した。

 そんな流れのなかでトヨタが放ったスマッシュヒットが1982年5月に登場したカローラIIだった。ネーミングどおりトヨタの屋台骨を支えるベストセラーカーのカローラの弟分である。しかしメカニズム的にはカローラとの共通点はなく、ターセル&コルサの派生車種だった。

 カローラIIのラインアップは2BOXデザインを持つ3ドアと5ドアのハッチバックのみで、駆動方式は先進のFF。パワーユニットは可変ベンチュリー型キャブレターを装着したスポーティ仕様の3A-HU型/1452cc(86ps/12.3kg・m)を筆頭に、3A-U型/1452cc(83ps/12kg・m)、2A-U型/1295cc(75ps/10.9kg・m)の3種をラインアップしていた。トランスミッションは4速と5速のマニュアルと3速オートマチックの3種である。

FFのクセを排除したメカニズム

 カローラIIの魅力は、文字通りFFレイアウトと若々しい2BOXスタイリングにあった。メカニズムがシンプルに収まるFFレイアウトは現在では小型車の常識だが、1980年代初頭は過渡期だった。

 各メーカーはFFレイアウトがもたらす走りのメリットを伸ばしながら、数々の弱点を抑えることに苦心していた。なかでもエンジン横置きのFFレイアウトがもたらす加速時のトルクステアや、シフトフィールの悪さは解決すべき課題だった。

 カローラIIはエンジン縦置きのFFレイアウトでこの欠点を克服する。現在ではアウディの上級版など一部車種しか採用していない方式である。エンジン縦置きのFFレイアウトは、スペースユーティリティの面でエンジン横置きFFシステムより劣るが、左右のドライブシャフトを等長に仕上げることができ、さらにトランスミッションの配置も自由度が高いためトルクステアのないナチュラルなドライブフィールを実現できるのがメリットだった。

 シフトフィールの面でもプラスをもたらす。慎重派だったトヨタは、徹底したスペースユーティリティよりも、走りのよさを重視したのだ。確かにカローラIIは急発進などのラフなアクセルワークでも挙動が乱れず、シフトタッチも滑らかだった。旧来のFR車から乗り変えても違和感のないドライバビリティの持ち主だった。とくに86psユニットを搭載したSRグレードでは俊敏な加速を披露し、スポーティさが十分に味わえた。

 さらにFFレイアウトがもたらす優れた高速走行時のスタビリティの利点で、ハイスピード時の安定感は兄貴分のカローラを上回るほどだった。ラック&ピニオン方式のステアリングは正確な反応を示し、ワインディングロードでの走りもしっかりとしていた。

8ウェイスポーツシート標準装備!

 カローラIIはスタイリングも洒落ていた。シャープなラインで構成したシンプルなフォルムだが、それが好評を博したのである。欧州車に通じるフレッシュなイメージを発散したからだ。なかでも専用ツートンボディカラーを設定したSRグレードの若々しさは際立っていた。

 バンパーを境に塗り分けたSRのカラーリングは存在感たっぷりで、室内も8ウェイ調節機構付きスポーツシートを標準装備するなど、若者の心をくすぐった。もちろん後席には分割可倒機構を設定し、広いラゲッジスペースを実現。大型リアゲートと相まって、どんな遊び道具でも楽々と収納できた。
 走ってよし、ステイリングよし、そして使ってよしのカローラIIはトヨタのロワーレンジを支える人気モデルに成長していった。トヨタはカローラIIによって若者のクルマに対する嗜好を大いに学んだのである。

エンジン縦置きの利点を活かした派生モデルの誕生

 エンジン縦置きのFFレイアウトはFFの悪癖をリファインできるとともに、もうひとつ大きな利点があった。4WDへと発展させやすいのである。後輪駆動用ドライブシャフトを無理なく追加できるからだ。この利点を活かしたモデルが1982年8月に登場した派生モデルのスプリンター・カリブだった。

 スプリンター・カリブは1981年10月の東京モーターショーに参考出品された多目的4WD、RV-5の市販モデルで、主要メカニズムはカローラIIと同様に、ターセル/コルサを元にしていた。駆動方式はパートタイム方式の4WD。通常はFFで走行するが、路面状況に応じて4WDに切り替える方式だ。エンジンは83ps仕様の1452ccを採用。4WD化に伴いカローラIIと比較して150kgほど車両重量が増していたためパワフルな走りは望めなかったが、それでも十分に実用的だった。カリブは多用途4WDワゴンの先駆けとして高い人気を博した。