ブルーバード・マキシマ 【1984,1985,1986,1987】

輸出モデルが源流の上級V6トップレンジ

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輸出名称を名乗ったニューモデル

 日産ブルーバード・マキシマは1984年10月にブルーバード・シリーズの最高グレードに位置するモデルとして国内発売された。マキシマ(Maxima)のネーミングは、ブルーバードの上級モデルの輸出モデル名として、特にアメリカ市場を中心として知られていたのだが、新型エンジンの搭載や前輪駆動方式の導入など、これまでのブルーバードとは異なるイメージを強調する意味で国内販売モデルにも付けられることになった。ちなみに、マキシマとは、「最大の」とか「最高」を意味する英語で、ブルーバード・シリーズのトップレンジを象徴している。

 マキシマの最大の特徴は、新しく開発された排気量1998ccのV型6気筒OHCエンジンを搭載していることと、1983年に前輪駆動化されたブルーバード・シリーズと同様前輪駆動方式を採用したこと、さらにスーパーソニック・サスペンションと呼ばれる電子制御による自動切り替え式ショックアブソーバーを採用したことだった。V6エンジンや新機構の採用に伴い、流用された既存のブルーバード系ボディやそのシャシーはかなり大幅な変更を受けており、事実上は新型車に近かった。

ロングノーズにV6ユニットを横置き搭載

 エンジンは、V型6気筒が横置き(クランクシャフトが進行方向と直角になる配置)となり、エンジン本体はもちろん、一体化されたトランスミッションとデファレンシャルなどもすべて前車軸の前側にオーバーハングして搭載される。これは、前輪に掛る重量を大きくして駆動力を確保するための設計で、このためマキシマのエンジンルームは標準型ブルーバードに比べて90mmほど長くなっている。従って回転半径も5.4m(標準型は5.0m)になった。

 V型6気筒エンジンのパワーは、ターボチャージャーを装着して170ps/6000rpmとなり、標準型よりも約150kgも増加した車重1380kg(ルグランAT車)にも十分で、決してスポーティーではないが、高級車らしい静粛さと中低速域の高トルクにより、運転しやすいモデルとなった。

先進電子制御サスペンションも設定

 トランスミッションは5速マニュアルとオーバードライブおよびロックアップ機構付きの4速オートマチックがある。サスペンションは前・マクファーソンストラット/コイルスプリング、後・ストラット/コイルスプリングの4輪独立懸架。
 前述のように、電子制御式の3段切り替えのショックアブソーバーを持つもので、ボディ先端に装着した超音波路面ソナーをはじめとする各種のセンサーを車載のマイクロコンピューター(8ビット)でコントロール、路面状況に応じて瞬時にショックアブソーバーの減衰力を切り替え、クルマの姿勢を常に安定させる先進システム。当時は世界初と言われた。

 パワーステアリングも凝っていた。操舵力を3段階に切り替えられる3ウェイタイプだった。ドライバーの好みや路面状態に応じて、パワーステアリングの操舵力を重め(HEAVY)、普通(NEUTRAL)、軽め(LIGHT)の3段階に切り替えられるシステムである。市街地は軽め、高速道路では重めなど自在に操舵力が選べるのは便利だった。また電子制御技術は操舵力切り替えだけでなくステアリングの精度そのものの引き上げにも効果を発揮した。

ユニークな快適装備を満載

 マキシマのユニークなアイテムとして、ルグランにオプション設定されたセーフティドライブアドバイザーがあった。ドライバーのコンディションを操舵パターンや運転時間などからマイコンが推定し、休憩を促すものだ。走り始めると30分ごとに積算運転表示が点灯し、2時間が経過すると絵表示とブザーで休憩を薦める。安全にどれほど貢献したかは未知数だが、マキシマの先進性を象徴するアメニティアイテムといえた。

ボディタイプは、4ドアセダンと4ドアハードトップの2車形、グレードは下位からXV、XR、ルグランの3つがある。価格は198万円から248万3千円となっていた。
 輸出向けのモデルを日本国内にも販売するという手法は良くあるが、大抵はボディサイズやエンジン排気量の大きさなどで、日本の道路事情や税制面で不利となり、大きくは発展しないものだが、マキシマの場合は日本市場にも比較的抵抗なく受け入れられたようで、ローレルとブルーバードの中間車種として高い人気を集めた。日本育ちの帰国子女と言うところだったのかもしれない。