ラングレー 【1980,1981,1982】

スカイライン一族の末弟

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プリンス店のテコ入れ策

 排出ガス規制の対応に一応の目処がついた1970年代末、各自動車メーカーは車種ラインアップの拡大に乗り出す。その方針の中には、販売ディーラーの取り扱い車の拡大も含まれていた。
 日産自動車の販売ディーラーでまず問題になったのはプリンス系列店だった。サニー・クラスに相当し、多くの販売台数が見込めるエントリーカーが未設定で、スカイラインのベーシックモデルの1600TIで何とか急場を凌いでいた。排出ガス規制が一段落した開発陣は、早速プリンス店向けの新型車の開発に乗り出す。

 開発陣が最初に議題に上げたのは、「プリンス店にはどんな小型車がふさわしいのか」だった。基本コンポーネンツは1978年5月に登場したUN10型パルサーを流用することに決まっていた。では、内外装をどんなコンセプトで仕立てるのか……。プリンス店側からの意見も聞き、開発スタッフが出した結論は、「スカイラインのイメージを生かす」ことだった。

スタイリングはミニ・スカイライン

 1980年8月、プリンス系列店で新しい小型車が披露される。そのスタイリングを見て、来場者は驚いた。フロントは横線基調のブラックグリルに角目2灯式のヘッドライトを装着。ボンネット先端にはブラックで縁取りがなされていた。リアはブラックガーニッシュに大型コンビネーションランプを組み込んでいるのが目を引く。前後バンパーはホイールアーチまで回りこんだ大型タイプだ。「スカイラインGT(C210系)にそっくり……」。当時のディーラースタッフの話によると、多くの来場者がそんな感想をもらしたという。ただし、ラングレーのボディタイプはスカイラインとは違い、3ドアハッチバックの1タイプだけだった。兄弟車のパルサーのように5ドアを用意しなかったのは、スポーティ路線を狙ったからだろう。

メーターはスカイラインと同じ水平指針型

 インテリアで注目されたのはメーターのアレンジだった。スカイラインと同様に、常用域を上に配した水平指針型を採用する。さらにX系グレードのステアリングには、これまたスカイラインと同イメージのツインスポークタイプを装着していた。ラングレーのキャッチフレーズは「スカイラインの神話がミニになった」だった。内外装の演出はまさにスカイラインのミニチュア版だったのである。

後継モデルの展開も──

 ラングレーは予想以上に好評を博し、やがてプリンス系列店の定番モデルとして成長していく。「対向車線ですれ違うとき、ラングレーだかスカイラインだかわかならい」という奇妙な事実も、ラングレー・ユーザーの人気要因のひとつだった。
 ラングレーは1981年3月にA14型エンジンからE15型に換装し、同時にATモデルも追加される。1982年6月にはパルサーと同時にフルモデルチェンジを受け、2代目のHN12型に移行した。このモデルの内外装はミニ・スカイラインというよりも高級なパルサーというイメージが強かったが、キャッチフレーズだけは「ケンとメリーのスカイライン」にならって「ポールとポーラのラングレー」とし、スカイラインのイメージを利用した。ただしキャッチフレーズは、スカイラインの「ケンメリ」ほどには浸透せず、一部のラングレー・ユーザーが「ポルポラ」と言った程度で終わった。