グロリア 【1971,1972,1973,1974,1975】

セドリックの兄弟車となったプリンス上級モデル

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セドリックの兄弟車となった4代目

 1971年に登場した4代目グロリアの大きな特徴は、同系の日産 セドリックと共通のシャシーコンポーネンツおよびボディシェルを使っていることだ。ボディバリエーションも共通で4ドアセダンのほか、2ドアハードトップ、バンなどがあった。

 グロリアとセドリックは、アメリカ車では一般的だった、いわゆるバッジエンジニアリングと呼ばれる手法により、基本的な部分を共用しながら、ラジエターグリルの意匠、細部のディティーリングや装備品の違いによって独自性を主張するクルマに変化する。グロリアとセドリックはほぼ同じモデルになったのだ。生産性を高めるためと販売チャンネルの違いを明確にするための手法。これらはクルマを作る側の事情であることはいうまでもない。

 搭載されるエンジンは、セドリックシリーズと全く等しいもので、主力は1998ccと1982ccの排気量を持つ3種の直列6気筒Cユニットだった。オーナードライバー向けはL20系の1998ccの直列6気筒OHCで、SU型ツインキャブレター仕様(130ps/6000rpm)と、ジェントルなシングルキャブレター仕様(115ps/5600rpm)の2種が設定されていた。もう一つは直列4気筒ユニットのH20型で1982ccの直列4気筒OHVシングルキャブレター仕様(92ps/4800rpm)だった。H20型にはタクシー向けのLPG仕様もあった。トランスミッションはコラムシフトとフロアシフトがあり、マニュアル型が3種、オートマチックが1種の計4種があった。これらはグレードやボディスタイルにより使い分けられた。

日産の最高級モデルに相応しい豪華な装備群

 駆動方式は縦置きフロントエンジンの後ろ2輪駆動(FR)である。サスペンションは前にダブルウイッシュボーン/コイルスプリング、後ろは半楕円リーフスプリングによるリジッドアクスル。ブレーキはスタンダードモデルには4輪ドラム、それ以外のグレードにはフロントにディスクブレーキが装備された。

 事実上の日産車中最高級車種となったグロリア(とセドリック)というわけで、その装備は豪華を極めたものとなった。各種の快適装備はもちろん、ダッシュボードのスイッチで行えるトランク開閉装置、テールライトの点灯確認モニター、リモートコントロールのフェンダーミラーなどが装備リストに掲載されていた。価格は77万4000円(4ドアセダンのスタンダード仕様)から138万円(2ドアハードトップGX)までがあった。アンダーパワーとの評価に対処して、排気量を2565ccに拡大したL26型の直列6気筒SOHCエンジン(140ps/5200rpm)を搭載した2600シリーズは1971年10月にデビューしている。

宿敵クラウンを凌駕したグロリア&セドリック連合!

 1971年2月に登場した230型系のグロリア&セドリックは、宿敵クラウンを販売台数で凌駕した画期的なモデルだった。クラウンも1972年2月にモデルチェンジを行い4代目に進化したが、“スピンドルシェイプ”と呼ぶ個性的なフォルムになじめないユーザーが続出。モデルチェンジ前に65%に達していたクラスシェアをじわじわと落とし、ついにグロリア&セドリック連合に抜かれてしまったのだ。

 グロリア&セドリック連合の勝因は、オーソドックスで華やかなスタイリングと、新たに2ドアハードトップを設定しラインアップを充実したことにあった。1971年10月には2600シリーズ、さらに1972年8月には日本初の4ドアハードトップを加え、人気は一段と沸騰する。とくにパーソナル感覚とフォーマルさを併せ持つ4ドアハードトップは新たな上級オーナーカーの新定番としてマーケットに大きな刺激を与えた。ちなみにクラウンに4ドアハードトップが加わったのは1974年10月。5代目にモデルチェンジしたタイミングだった。