サイノス 【1995,1996,1997,1998,1999】

スタイルを楽しむ2代目カジュアルクーペ

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キープコンセントで魅力を磨いた2代目

 1995年9月、サイノスが第2世代に進化した。サイノスはレビン&トレノよりひとまわり小型の2ドアクーペで、メカニズム面はターセル&コルサ系をベースにしていた。キャラクター的にスポーティな走りを追求したモデルではなく、スタイリッシュなデザインを楽しむカジュアルなスペシャルティだったのだ。

 2代目サイノスは、初代と共通の2380mmのホイールベース、フロントがストラット式、リアがツイストビーム式のサスペンションから理解できるように、フルモデルチェンジとはいえシャシー回りは先代用をリファインして使っていた。スタイリングも基本的にキープコンセプトで、印象は大きくは変わっていない。

 2代目の新しさは、安全性の向上と、日常性能の磨き込みに表現されていた。安全性を高めるためにボディは基本骨格段階から見直され、前後衝突時の乗員保護性能を高めただけでなく、側面衝突時にも衝撃を効果的に分散し乗員を守る先進設計を導入した。ドアには上下2本のサイドビームを配置し、ボディだけでなくドアトリムなどの内装材の見直すことで高い安全性を実現。欧州の新基準を凌ぐクラストップの乗員保護性能を手に入れる。同時に緊急回避時に威力を発揮するABSやエアバッグなどの装備を充実し、総合的な安全性確保に磨きを掛けたことが光った。

燃費と快適性をリファインし優れた日常性能を獲得!

 日常性能面では、従来からの1496ccユニット(5E-FHE型・110ps/13.9kg・m)に加え、一段と経済的な1331ccユニット(4E-FE型・88ps/11.8kg・m)を設定が目を引いた。インテークマニホールドを延長し、ノックコントロールシステムを採用した新設の1331ccは、軽量設計のサイノスに十分なパワーをもたらした。さらに実用燃費の指針となる10・15モード燃費も19.2km/L(5MT)と優れていた。タウンユース主体のユーザーにとって1331ccユニットの登場は朗報だったのだ。

 新UVカットガラス&ソーラーカットガラスの採用によりキャビンの快適性を磨いたのも特徴だった。全車のフロントウィンドーに採用した新UVカットガラスは、従来品の39%を大幅に上回る53%の日射エネルギーカット率を誇り、紫外線カット率も90%以上に達していた。さらに上級グレードのリアウィンドーに装着されたソーラーカットガラスは従来ガラスのほぼ倍にあたる63%の日射エネルギーカット率を誇り、89%もの紫外線をカットした。直射日光にさらされてもキャビンを快適に保つ工夫で、サイノスのように大きく寝たウインドーを持つクルマにとって効果は絶大だった。空調ファンを従来より1段階低くしても快適性をキープできたのだ。

フルオープンの爽快コンバーチブル誕生

 2代目サイノスは、1996年9月に新たな個性を手に入れる。フルオープンのスタイリッシュなコンバーチブルがラインアップに加わったのだ。サイノスの伸びやかさを生かした小粋なデザインはお洒落な印象にまとめられていた。しかもクーペよりやや狭くはなっていたが後席スペースもそのままだったため、優れた日常性能を身に付けていたのも特徴だった。

 幌は手動式のソフトトップ形状で、リアウィンドーには熱線入りのガラスが採用された。コンバーチブルは生産システムが国際的だった。クーペ状態のサイノスをアメリカのASC社に送り、ASC社でボディの改造&強化と幌を組み込み、完成車を再び日本に送り返し最終チェックを受け出荷していたのだ。太平洋を往復する日米共同の生産スタイルである。ASC社との連係はセリカ・コンバーチブルと同様で、オープンカーのスペシャリストであるASC社の協力によりサイノス・コンバーチブルの完成度は非常に高かった。

サイノス最適設計のライブサウンドも設定

 2代目サイノスは全車オーディオがオプションだった。厳密に言うと2個のスピーカーとアンテナのみ標準装備で、オーディオ本体をユーザーが自由に選ぶシステムだった。ベーシックなラジオ&カセット一体のワンボディから、フルコンポまで多彩なシステムを設定していたが、注目はメーカーオプションとして用意されていたライブサウンドシステム。

 ライブサウンドシステムは、サイノスの室内形状&音響特性を徹底解析して理想のサウンドを作り出したシステムで、スピーカーはフルレンジリアスピーカーを含む6スピーカーにグレードアップ。メインユニットはFM電子チューナーとカセットデッキを組み合わせたワンボディだった。専用設計だけにサウンドクオリティは高く、迫力たっぷり。ディーラーオプションのCDチェンジャーとの組み合わせでマルチソース・オーディオにグレードアップさせるユーザーも多かった。

 サイノスは、クルマにまだ“遊び”が許された1990年代半ばの時代の空気を存分に取りこんだコンパクトスペシャルティだった。小粋なスタイリングとキビキビとした走り、そして優れた日常性の融合は、現在でもいささかも色褪せていない。