ファミリア 【1967,1968,1969,1970,1971,1972,1973】

マイカー・ブームを牽引した2代目ファミリーカー

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大衆車市場の拡大を背景にした全面改良

 アルミ合金を多用する“白いエンジン”を積み込んで1964年9月に市場デビューを果たしたマツダ・ファミリア。1966年にトヨタ自工のカローラや日産自動車のサニーがデビューした後も、エンジンの排気量アップや装備の上級化などを実施し、着実な販売成績を残す。そして1967年11月には、ライバル群と真っ向勝負するためのフルモデルチェンジを実施した。

 「一歩進んだ現代のファミリーカー」を謳う2代目ファミリア(FA3型系)は、設計テーマに“現代家族”を据える。スタイリングに関しては、楕円が基調の “オーバルシェイプ”で構成。また、角型2灯式のヘッドライトや三角窓を廃したフロントドアウィンドウ、伸びやかなサイドのプレスライン、エッジを利かせたリアサイドなど、各部に新しい要素を取り入れた。

 インテリアでは先代に比べて居住空間を広げると同時に、インパネやシートといった主要パーツを上級化。さらに、クラス初のエアフレッシュシステムを採用して快適性を引き上げる。エンジンはハイカムシャフトを組み込んだPB型987cc直4OHV(58ps)を主力とし、フロントサスペンションには新たにマクファーソンストラットを導入した。

量産ロータリー車「ファミリア・ロータリークーペ」の登場

 2代目では車種設定の面でも工夫を凝らす。デラックス/パーソナルデラックス/スタンダードのほかにオリジナルと称する最小装備の廉価モデルをラインアップし、これにユーザーが多彩なアクセサリーの中から好みの装備を追加できる仕組みを用意した。いわゆるフルチョイスシステムの簡素版といえる手法だが、当時の国産車としてはかなり斬新なアイデアだった。

 強力なライバル車に囲まれた2代目ファミリアだったが、その個性的なアレンジは市場で光を放ち、堅調なセールスを記録する。その勢いをさらに高めようと、東洋工業は矢継ぎ早にファミリアの車種強化を実施していった。

 まず1968年2月には、TB型1169cc直4OHVエンジン(68ps)を搭載する上級モデルの「ファミリア1200」を発売。同年7月には、コスモスポーツに続くロータリーエンジン車の第2弾となる「ファミリア・ロータリークーペ」(10A型491cc×2ローター)をリリースする。そして翌1969年7月になると、4ドアセダンにロータリーエンジンを積み込む「ファミリア・ロータリーSS」を市場に放った。

“急速”のサブネームを付けて上級化

 意欲的にファミリアの車種強化を図った東洋工業(現マツダ)。一方、競合車のカローラやサニーはそれ以上に車種ラインアップを増強。また、中堅メーカーもスバルff-1やホンダ1300、三菱コルト・ギャランといった魅力的なモデルを市場に送り出していった。

 強力なライバル群に対抗するためには、ファミリアの抜本的な進化が必要不可欠--。結果的に東洋工業は、ファミリアをベースにした新たなマイカーの開発を決断。目指したのは、さらなる性能アップと内外装の上級化だった。

 性能アップに関してはエンジンの変更に主眼を置く。ヘッド機構は従来のOHVに比べて高回転化が可能なOHCに変更。排気量も1272ccにまで拡大する。ブロックは耐久性やコストを踏まえてアルミ合金から鋳鉄製に一新した。こうして完成した新エンジンは、TCの型式が付けられる。外装はグリルデザインの変更やメッキパーツの多用化などを実施して、見た目の高級感を強調する。内装もインパネやシートのデザイン変更などでグレードアップを果たした。

 1970年3月、東洋工業の新しいシリーズがファミリアに追加される。車名は「ファミリア・プレスト1300」。“急速”を意味するサブネームを付けた渾身の上級ファミリーカーだった。ファミリア・プレストはデビューからわずか1カ月後の1970年4月に、2台の新規モデルを設定する。1台はプレスト1000。廉価仕様のエントリーカーという位置づけだが、そのバランス感覚に優れた走りのよさと上級な装備群で好評を博した。もう1台はプレスト・ロータリー。従来のファミリア・ロータリークーペも、ついにプレストの名を冠したのだ。ボディタイプはクーペのほかに、4ドアセダンのSSも用意した。