カローラII 【1990,1991,1992,1993,1994】

女性ユーザーを魅了したパーソナルハッチ



時代の要求を捉えた3代目カローラII

 1990年9月に登場した3代目のカローラIIは、女性ユーザーをメインターゲットに開発したスタイリッシュな3ドアハッチバックだった。従来モデルにあった5ドアをラインアップから落としたことからも分かるように、ファミリーカーとしての実用性よりもパーソナルカーとしてのキャラクターを重視して開発されていた。ちなみに兄弟車のターセル&コルサには設定していた4ドアセダンもカローラIIにはなかった。

 3代目カローラIIが登場した1990年、日本はバブル期の真っ只中にあった。誰もがよりお洒落で、クオリティが高く、高級なものを求めていた。クルマも例外ではなかった。3代目カローラIIは、従来軽自動車に乗っていた女性ユーザーが上級移行するのに最適なクルマとして開発されていた。また女性が初めてのクルマとして選ぶケースでも魅力的に映るように計算されていた。

まるでファッションアイテムのような存在

 カローラIIの魅力は、そのスタイリングにあった。基本フォルムはオーソドックスな2ボックススタイルだが、ラウンディッシュなリア処理やボディサイドのワイドなキャラクターラインなどが未来感覚を与えるデザインに仕上げていた。ブルーグレイメタリックやライトイエローマイカといったお洒落なボディカラーを用意したこともあって、生活臭の少ないファッションアイテムという印象を与えた。

 ベーシックグレードを除き、セミオープン感覚が満喫できる電動キャンバストップ仕様を設定していたのも魅力だった。もちろん取り回し性にも優れており、ボディのスリーサイズは全長3930×全幅1645×全高1365mmとコンパクト、最小回転半径も僅か4.7m(1.5L車)と狭い場所でも持て余さないよう配慮していた。

 ラインアップは上位から順にZS、SR、ライム、ウィンディー、TXの5グレード構成で、全車にエアコンや防汚処理シートファブリック、シートバックポケット、可倒式リアシートを標準装備し、ベーシックモデルのTXを除きパワーステアリングや運転席バニティミラーなども標準化していた。どのグレードを選んでも、快適なドライブをサポートする充実した装備の持ち主だったのである。なかでもライムはシートの前後スライドに対応してクッションの長さが自然に変化するメモリー付きデュアルスライドシートを採用するなど、小柄な女性でも運転がしやすい工夫を盛り込んでいた。

イージードライブ性を重視したメカニズム構成

 エンジンはパワフルな先進ユニット揃いだった。ガソリン仕様はすべてDOHC16V仕様で、排気量1496ccの5E-FHE型(115ps/6600rpm)、同じく1496ccの5E-FE型(105ps/6400rpm・2WD)、1331ccの4E-FE型(100ps/6600rpm)の3種を設定。経済性に優れたディーゼル仕様はターボを組み合わせた排気量1453ccの1N-T型(67ps/4500rpm)を用意していた。トランスミッションは4速&5速マニュアルと、3速&4速オートマチックをグレードによって使い分けていた。女性ユーザーがメインターゲットだけに主力はオートマチックである。

 駆動システムはフロントエンジン・フロントドライブのFFを基本に、一部グレードにフレックスフルタイム4WD仕様を用意していた。フレックスフルタイム4WDとは、通常はFFで走行し、滑りやすい路面になると自動的に後輪にも駆動力が伝わるイージーオペレーションの4WDである。ドライバーが路面状況を見極めてスイッチなどで4WDに切り替える必要がないため、女性に優しい4WDシステムと言えた。

 カローラIIはコンパクトカー本来の運転のしやすさ、燃費のよさを大切にしながら、デザインや装備にプラスαの魅力を加味した逸材だった。豊かさを追い求める時代の要求に応えた個性派である。

マガジン構成で好評を博したカタログ

 3代目カローラIIのカタログは女性誌のような洗練されたビジュアル満載のマガジン構成の豪華版だった。ユニークだったのはカローラIIそのものの説明だけでなくドラテク講座やメカニズム解説などの読み物が充実していたことだ。

 ドラテク講座では「スムーズに駐車をするコツ」や、「反対車線の右折車に道を譲るタイミング」「下り坂でのオートマチックの操作法」など、実際のドライブシーンで役立つ項目を掲載。メカニズム解説では「フレックス4WD」や「16バルブEFIエンジン」などの仕組みを分かりやすく説明していた。女性ユーザーをターゲットにしていただけに誰もが分かりやすい表現に工夫しており、このカタログでクルマに詳しくなった女性も多かった。