ファーゴ 【1995,1996,1997,1998,1999,2000,2001】

2代目は日産キャラバンのOEM供給車に変身

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いすゞ版キャラバンとなった2代目の事情

 1995年8月に登場したいすゞの1BOXモデル、2代目ファーゴは日産キャラバンのOEM供給車となった。これはいすゞが1992年に乗用車開発からの撤退を決定したことの影響だった。でも理由はそれだけではなさそうだ。

 1981年1月にデビューした初代ファーゴは、クリーンなスタイリングと優れた実用性の持ち主だったものの、ライバルのトヨタ・ハイエースや日産キャラバンに販売台数でつねに大きく水を開けられていた。その影響で次期モデルの開発は滞っていたのだ。いすゞが乗用車開発からの撤退を決めていなくても、2代目は他社からOEM供給を受けていたかもしれない。というのもファーゴのラインアップは商用ユースのライトバンと、乗用ワゴンの2シリーズ構成だったが、販売のメインはライトバンだったからだ。いすゞが開発から撤退したのは乗用車、商用車は本業である。もし初代ファーゴの販売が好調だったら、自社開発の2代目が誕生していたに違いない(ワゴンは設定されなかったかもしれないが……)。

主力モデルは商用ユースのライトバン

 日産キャラバンのOEM車となった2代目のラインアップも、ライトバンとワゴンの2シリーズ構成である。ライトバンは全長4420×全幅1690×全高1950の標準バン(ホイールベース2375mm)と、全長4690×全幅1690×全高1950mmのロングバン(ホイールベース2645mm)の2タイプで、ロングバンでは全高2225mmのハイルーフ仕様も選べた。荷室長は標準バンが2785mm、ロングバンは3055mmに達した。

 グレード構成はハロゲンヘッドランプやライト消し忘れ警告ブザー、集中ドアロックなどを装備した上級版のLTと、ベーシックなLDの2種。LDでもパワーステアリングやオーディオ、パワーウィンドーは標準だった。乗車定員は標準バンが3/6名の2種、ロングバンは3/6/9名の3種から選択可能だった。

 パワーユニットは全車とも排気量2663ccの日産製の直列4気筒ディーゼル(85ps/18.0kg・m)を積み、トランスミッションは5速MTと4速ATを用意。駆動方式はFRとパートタイム式4WDから選べた。ちなみに4WD仕様は車高が40mmほど高くなり、トランスミッションは5速MTのみとなった。日産キャラバンとの違いはエンブレム関係程度と最小限。ファーゴ独自の個性の演出はいっさいされていない。ちなみにデビュー当初の販売目標は月販400台に設定されていた。

8名乗りワゴンはツインサンルーフ標準装備

 ワゴンもキャラバンと事実上共通のモデルだった。3列シート/8名乗りのLSと、4列シート/10名乗りのLDの2グレード構成で、LSはパーソナルユースを想定した上級仕様。LDは法人向けの送迎車という性格である。ボディサイズやエンジンはグレードによって異なり、LSは全長4525×全幅1725×1955mmの標準ボディ(ホイールベース2375mm)に、排気量2663ccの直列4気筒ディーゼルターボ(130ps/28.4kg・m)を搭載。LDは全長4690×全幅1690×全高1965mmのロングボディ(ホイールベース2645mm)と、ライトバンと共通となる排気量2663ccの自然吸気式の直列4気筒ディーゼル(85ps/18.0kg・m)の組み合わせだ。トランスミッションはLSが4速ATのみ。LDは5速MTと4速ATから選べた。駆動方式は両グレードともにFRとパートタイム式4WDの2種である。ワゴンの販売目標は月販100台に設定された。

 上級仕様のLSの装備は、日産キャラバンのGTグレードと同等となり非常に充実していた。フォグランプ内蔵ヘッドランプ、ツインオートAC、運転席エアバッグ、ツインガラスサンルーフなどを標準装備。3列シートのアレンジも、2列目回転対座、1-3列フルフラット、サードシート折り畳みなど、使用シーンに応じて多彩な演出が可能だった。ボディカラーには品なツートーン仕様を採用していた。

 2代目ファーゴは、人気の高い日産キャラバンのOEM車だけに、使い勝手に優れたモデルだった。しかしファーゴらしさという面は、ほとんど考慮されていなかった。街で見かけてもファーゴとキャラバンは見分けがつかなかった。いすゞがディーゼルエンジンのリーディングメーカーにも関わらず、ファーゴが日産製ディーゼルエンジンを搭載していたことに複雑な思いを抱いたいすゞ関係者も多かったと聞く。