館長日記07 トヨタ GAZOO レーシング・GR010ハイブリッド 【2021】

ル・マン4連覇を目指した最強レーシングカー登場

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名車文化研究所の館長は、もちろん無類のクルマ好き。
得意なのは「ちょっと古いクルマ」だけではありません。最新モデルも興味シンシン。現在でも自動車専門誌「CAR and DRIVER」の編集委員としてバリバリ取材をこなしています。
その日常を「館長日記」としてご紹介します。今日はトヨタの最新レーシングカーです。
名車文化研究所・館長 横田宏近 写真 TOYOTA GAZOO Racing
GR010ハイブリッドは、WEC参戦用・新型LMHマシン!

 トヨタGAZOOレーシングから、2021年シーズンからWEC(FIA世界耐久選手権)に導入されるル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の新型マシン「GR010ハイブリッド」が発表されました。LMH規定は専用に開発したプロトタイプ車両と、市販ハイパーカーをレース仕様に仕立てた車両の2種類で戦うジャンルです。GR010は前者、つまり生粋のプロトタイプ・レーシングカーになります。

 え、そうすると現在開発中で、昨年のル・マン24時間の決勝前にデモンストレーション走行を行ったハイパーカー、GRスーパースポーツ(仮称)とは全くの別物!? と考えたアナタ、それはちょっと違います。新型GR010ハイブリッドのベースになっているのは、2018年から2020年にかけてル・マン3連覇を果たしたTS050ハイブリッド。開発中のGRスーパースポーツと同様なのです。つまり2台とも、TS050ハイブリッドで鍛えたレーシングハイブリッドや空力テクノロジーを受け継いでいます。WECを走るGR010ハイブリッドも、公道を走るGRスーパースポーツも血統は同じなのです。

システム最高出力952ps! 3月からシーズン開幕

 GR010ハイブリッドは、最高出力200kW(272ps)のモーターをフロントに搭載し、最高出力500kW(680ps)を発生する3.5ℓ・V6ツインターボエンジンをリアミッドに積んでいます。システム最高出力は952ps。エンジンとモーターを同時に駆動した際は4WDになります。

 参戦体制は、従来と同様の2台体制。小林可夢偉選手が7号車、中嶋一貴選手が8号車をドライブします。WECは耐久シリーズですから1台3名体制でレースを戦うことになります。
 2021年シーズンはプライベーターのグリッケンハウスとバイコレスがLMHのプロトタイプでの参戦を表明しました。アルピーヌも2021年に限り特例で認められている旧LMP1規定の車両で出場します。

 チーム体制は、やはりトヨタが最強と思われます。すでに本番レースを想定した集中テストを2回も実施しており、3月に開催される緒戦のセブリング1000マイルを迎える準備は万全。ル・マン24時間レース4連覇も十分に視野に収めています。個人的には今年のル・マンは小林選手に勝ってもらいたいと考えています。彼は速いのに、なぜかル・マンでは結果を残していません。今年こそ表彰台の頂点に立ってほしいものです。

 WECは、2022年には、LMHプロトタイプでプジョーが参戦。LMH規定の導入に合わせてデイトナ24時間をシリーズに含むアメリカIMSAの最上位カテゴリーと相互交流が始まったため、2023年にはポルシェとアウディがIMSA・LMDh規格のプロトタイプ車でル・マンに戻ってくることになっています。数年後には、再びトヨタ,ポルシェ、アウディ、プジョーがしのぎを削る熱いレースが帰ってくるのです。まずは2021年のトヨタの活躍に期待です。

トヨタはWRC(世界ラリー選手権)も期待大です!

 ヤリスWRCによるWRC(世界ラリー選手権)は2017年からスタートしました。これまで17回の優勝と322回のステージ勝利を獲得し、昨年はセバンスチャン・オジェ選手がドライバーズチャンプに輝きました。2021年はドライバーとして活躍したヤリ-マティ・ラトラバが新チーム代表に就任。さらなる高みを目指します。ライバルのヒュンダイやフォードに対して、どこまで速さを見せつけられるでしょうか。緒戦はクラシックイベントのモンテカルロ・ラリー。ワクワクしますね! 館長は昔からサーキットレースよりラリーが大好きです。