クラウン・マジェスタ 【2004,2005,2006,2007,2008,2009】
先進技術を満載した最上級ドライバーズサルーン
1991年にファーストモデルが登場したクラウン・マジェスタは、日本を代表する高級サルーンであるクラウンの上級モデル。いわば高級車の中の高級車という存在だった。国際車であるレクサスLS(セルシオ)を別格と考えると、日本車の最上位に位置する。
歴代モデルの中で、ショーファードリブンというキャラクター以上に、オーナーがステアリングを握るドライバーズカーのキャラクターを鮮明にしたのが2004年7月に登場した第4世代だった。
ベース車のクラウンそのものが「ZEROクラウン」をキーワードにプラットフォームからコンセプトまで一新し、従来のクラウン像をパーソナルなイメージに革新した。そのZEROクラウンを基本としたマジェスタだけに、すべてが斬新だった。
第4世代の開発コンセプトは「ダイナミック&マジェスティックセダン」。カタログでは「所有して満足するだけの高級から、徹底的に愉しみ味わい尽くす高級へ。圧倒的なパワーを生み出すV8エンジンと、揺るぎない走行安定性を誇る先進技術VDIN(ビークル・ダイナミック・インテグレーテッド・マネージメント)。このコンビネーションが、ラグジュアリーカーの未来を変える」と語りかけ、走りの面での自信を明確にする。
それまでのクラウン・マジェスタは、圧倒的に静かでソフトで快適な乗り心地の持ち主ではあったものの、豊かなパワーを生かしてダイナミックな走りを満喫すると言ったキャラクターではなかった。しかし、第4世代は、静粛性と快適性をそのままに、芳醇なドライビングの世界を追求していた。従来までのライバルは、日産のシーマなど国産車だったが、新型はメルセデスやBMWなども射程に収めていた。
ラインアップはCタイプ、Cタイプi-Four、Aタイプで構成する3グレード。パワーユニットはそれまでの3L・6気筒が廃止され、全車4292ccのV8DOHC32Vを搭載。スペックは280ps/5600rpm、43.8kg・m/3400rpmを誇った。トランスミッションは電子制御タイプの6速ATで、足回りは前後エアサスペンション仕様の4輪独立システム(前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンク)。駆動方式はCとAタイプがFR。Cタイプi-Fourは4WDだった。
第4世代のパーソナルなイメージはスタイリングに鮮明に表現されていた。基本フォルムはベースになったクラウンとほぼ共通だったが、フロントマスクとリアエンドを専用形状に仕上げ、一段と流麗で伸びやかに磨きをかけていた。とくに縦型リアランプと、空力に優れたダックテール状リアトランクの組み合わせは、独特のムードを演出する。ボディサイズは全長4950mm、全幅1795mm、全高1465mm(Cタイプ)。クラウンよりひと回り大柄だが、日本の道路環境を優先して全幅を1.8m以下に抑えていたのが特徴だった。最小回転半径も5.2m(Cタイプ)と、サイズを考えると小回りが利いた。Cd値は0.27と世界トップレベルを誇った。
室内は豪華そのもの。インパネからドアトリムに至るまでカーリーメイプルの本木目パネルが贅沢に採用され、センタークラスターに象嵌細工を施すことで、天然の木材が持つ温もりの中に、際立つ高級感を表現した。装備は充実しており、ナビゲーションシステム、ヘッドアップディスプレイ、前後席パワー調節シート、イージークローザー付きパワートランクを標準装備した。
先進技術の積極活用という面でも目を見張るものがあった。FR車には、ABS、TRC、VSCを高次元で統合制御し、ドライバーのイメージする「走る・曲がる・止まる」を実現するVDIM機構を搭載。全車に夜間のコーナリング時に、ロービームの照射軸がステアリングと連動して動くインテリジェントAFSを標準装備する。またレーザーレーダーセンサーで先行車を認識・判断し、設定車速内で車間距離を保ちながら追従走行するレーダークルーズコントロールや、レーンキープアシストをオプションで用意。第4世代マジェスタの先進テクノロジーは、日本はもちろん欧州製のライバルを凌駕する世界トップレベルに達していた。
第4世代のマジェスタは、ドライバーズカーとしての資質を磨いた存在だったが、もちろんショーファードリブンとしても高い適性を備えていた。後席は40/20/40の3分割パワーシートで、左右席は最大11度の無段階リクライニング機能付き。中央席を前倒しするとセンターアームレストとして機能した。
後席左側は、スイッチ操作で1Hzから60Hzまで発振周波数が変動するバイブレーターをオプション設定。同じくオプションの助手席オットマン機能を利用すると足をゆったり伸ばした状態でのマッサージが楽しめた。さらに助手席側ヘッドレストの前倒し機能により、後席左側のパッセンジャーには広い前方視界を約束。特等席は後席の左側だった。