サファリ 【1997,1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】

3種の心臓を揃えたキング・オブ・オフローダー

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世界が認めた究極のクロカン4WD

“キング・オブ・オフローダー”を開発コンセプトにしたサファリは1997年10月に3代目に進化する。サファリは、1950年に誕生した「パトロール」の伝統を継承した正統派のクロスカントリー4WDである。全販売台数のうち日本市場が占める割合はごく少なく、アフリカや中近東などをメインマーケットとしたワールドクラス4WDだ。

各部の作りはヘビーデューティーそのもの。ライバルとなるトヨタのランドクルーザーが、スパルタンな70系、ラグジュアリー指向の80&100系、そしてオールラウンダーのプラド系と多彩なシリーズ展開で幅広いキャラクターを実現していたのに対し、サファリはいわば直球勝負の4WDだった。それだけに悪路の走破性は抜群のものを持っており、日本ではオフロードを走る機会の多いマニアが好んだ。

パワフルで滑らかな3種の直列6気筒

 3代目サファリは、全長4910mmの4ドアと、全長4340mmの2ドアの2種類のボディを用意し、4ドアは3列シートを備えた定員7名仕様。ショートボディの2ドアは機動性を重視した2列シートの定員5名仕様だった。

 ユニークだったのは4ドアと2ドアで搭載エンジンを分け、キャラクターを鮮明にした点である。4ドアが搭載するパワーユニットは新開発のTB45E型ガソリンと、改良版のTD42T型ディーゼルターボ。2ドアは軽量でしかも鋭いレスポンスが特長のRD28ETi型ディーゼルターボだった。すべてが直列6気筒のレイアウトを持っており、TB45E型ガソリンは4478ccの排気量から200ps/4400rpm、35.5kg・m/3600rpmのビッグパワーを誇った。滑らかな回転フィールと静粛性は特筆レベルで、新開発ながらあえてOHV機構とし信頼性を重視していたのが目をひいた。4ドアのもうひとつの心臓となるTD42T型は、先代でもパワフルさが好評だった4169ccのディーゼルターボの改良版である。燃料噴射ポンプのリファインにより先代比15psアップの最高出力160ps/3600rpmを実現し、33.7kg・m/2000rpmの太いトルクと相まって2.3トンを超える重量級ボディを豪快に走らせた。

 4ドアが大型4WDらしい大排気量ユニットを搭載したのに対し、2ドアは小排気量の高効率エンジンを採用する。2ドア用RD28ETi型は電子制御式燃料噴射ポンプを持つ新世代のディーゼルターボで、2825ccの排気量から135ps/4000rpm、29.3kg・m/2000rpmを発揮した。4ドア用のTD42T型ディーゼルと比較するとさすがにやや非力だが、OHC機構や空冷式インタークーラーの採用によりシャープなレスポンスを誇り、またディーゼルの悪癖である加速時の黒煙なども少ない実力派だった。エンジン自体の重量も軽かったためハンドリングの面でも大きなメリットを発揮した。サファリのなかで2ドアは“スポーツ4WD”を標榜していた。それだけに心臓もアップテンポな走りに適したものが選ばれたのである。

3代目は先進の安全設計を導入し進化

 3代目はワールドカーらしく、時代が求める機能を積極的に盛り込んでいた。そのひとつが安全対策だった。ボディは1998年10月から日本と欧州で導入される側面衝突や、将来導入が予定されている欧州オフセット衝突基準など、世界の安全基準を先取りしてクリアーする衝撃吸収構造を採用。さらにデュアルSRSエアバッグや、前席プリテンショナー機能付きシートベルトなどを標準装備していた。3代目はタフで頑強なだけでなく世界で最も安全なオフローダーだったのである。

 フロントが3リンク式、リアが5リンク式の前後ともリジッド方式のサスペンション。信頼性の高いセレクティブ方式の4WDシステムなど、走りを支えるメカニズムはオーソドックスに仕上げられ、あえて冒険していなかった。もともと走りについての評価が高かっただけに、熟成の道を選んだのだ。とはいえクラス最大のホイールストロークを確保すると同時に、ロードクリアランスを見直すことで実質的な悪路走破性は一段と向上していた。各種の快適装備の充実により、長距離ツアラーとしての優れた適性も身に付けていたが、基本はあくまで世界に誇るオフローダーだったのである。サファリは2007年6月を持って日本での販売は終了する。しかし海外では日産クロスカントリー4WDの最高峰として、その後も高い人気を誇った。サファリは日本以上に海外で有名な日本車の典型的な1台なのである。