プレリュード 【1982,1983,1984,1985,1986,1987】

誰もが憧れたスペシャルティカー代表

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先駆モデルを象徴する“前奏曲”の車名を纏った
ホンダ製スペシャルティカーのプレリュードは、
1982年11月に全面改良を行って2代目に移行する。
“FFスーパーボルテージ”というキャッチを冠し、
ワイド&ローのスポーティかつ瀟洒なスタイルと
先進メカニズムをフルに盛り込んだ第2世代は、
若者層を中心に幅広いユーザーから熱い支持を獲得。
総生産台数60万台以上の大ヒット作に発展した。
新世代のスペシャルティカーを目指して

 ホンダ・ブランド初の本格スペシャルティカーとして1978年11月にデビューした初代プレリュード(SN型系)は、洗練された乗り心地やシャープなコーナリング性能などで高く評価された。しかし、日本での販売成績は思ったほど伸びず、生産の8割近くが輸出に回される。上級乗用車のアコードと一部基本コンポーネントを共用化していたために動力性能の面で精彩を欠いた、スタイリングがやや地味だった、車格の割にボディが小さく室内空間も狭かった、などがウィークポイントとして指摘された。

 オイルショックや厳しい排出ガス規制を乗り越え、新型車の企画に資金と人員を増やすことができるようになった開発現場では、早々にプレリュードの全面改良が計画される。目指したのは、FF車の走りの機能と新世代スペシャルティカーとしての資質の徹底追求。これを実現するために、ホンダ独自の先進技術をあますところなく導入する方針を打ち出した。

リトラクタブルヘッドライト採用。ボディは空力フォルム

 2代目プレリュードは、剛性を高めながら軽量化を施したハイソリッド&アンチシェイクボディを基本に、ワイド&ローかつトータルエアロダイナミクスを極めた空力フォルムを採用。エクステリアはリトラクタブルヘッドライト、ブラッキーフロントグリルや低いボンネット、セミコンシールドシングルワイパー、エアロスカート一体樹脂製大型フロントバンパー、ハイデッキダックテールが訴求点だった。

 ボディサイズは全長4295×全幅1690×全高1295mmにまとめ、重心位置を地上から500mmと低く設定する。Cd値(空気抵抗係数)は0.36、Cl値(揚力係数)は0.19。Cd×A値(空気抵抗係数×前面投影面積)は0.67という優秀なスペックを実現。足回りには、フロントにワイドスパン&ツイステッドアッパーアームを組み込んだ新設計のダブルウィッシュボーン式を、リアにラジアスアームとロアアームで構成したストラット式をセット。制動機構にはフロントにベンチレーテッドディスクブレーキを装備し、日本車初の4輪アンチロックブレーキ(4W A.L.B.)を設定した。

エンジンは新開発ツインキャブレター仕様

 パワートレインも新しい。1気筒当たり吸気バルブが2個、排気バルブが1個のレイアウトを採用したES型1829cc直列4気筒OHC12V・CVCCエンジンを搭載する。燃料供給装置にはサイドドラフト可変ベンチュリー型のCVキャブレターを2連装。コンパクトルーフ型主燃焼室とBC(Branched Conduit)トーチにより圧縮比を9.4と高めに設定し、そのうえで排気脈動を利用した4-2-1-2エグゾーストシステムを組み込んだ。新ユニットは、MT125ps/5800rpm、AT120ps/5800rpmの最高出力と15.6kg・m/4000rpmの最大トルクを発生。組み合わせるトランスミッションには5速MTとロックアップ機構付きフルオート4速ATをラインアップする。

 インテリアはスポーツ&スペシャルティの創出をテーマに、地上から僅か410mmの低い位置に設定したロードライビングポジションやバケットタイプのシート、外径370mmのスポーティグリップステアリングホイール、独立インレットラム圧ベンチレーションシステムを採用する。最上級モデルにはカラード液晶デジタルメーターや高音質オーディオシステムを用意。大型のスーツケースを2個収納できるトランクルーム(後席シートバック一体可倒機構付き)も設定した。

“FFスーパーボルテージ”のキャッチを冠してデビュー

 1982年11月、2代目となるAB型系プレリュードがデビューする。キャッチフレーズは“FFスーパーボルテージ”。車種展開は豪華仕様のXX、スポーツ指向のXZ、ベーシックモデルのXCという3グレード構成。鮮烈さとエレガントなイメージが融合したルックスに、ホンダ自慢のハイテクを組み込んだ第2世代のプレリュードは、たちまち市場の大注目を集める。ラヴェル作曲の『ボレロ』をBGMに使ったシックなCMも話題を呼んだ。2代目プレリュードは月販目標台数の2000台を大きく上回る受注を獲得し、納車数カ月待ちの状態が続くこととなった。

高性能バージョン「2.0Si」の衝撃

 好調な販売成績をキープする2代目プレリュードは、1983年10月に中間グレードのXJを追加し、1984年10月にはマイナーチェンジを行ってリアガーニッシュやシートの一部仕様を変更する。そして1985年6月になると、真打ちともいえる高性能モデルのBA1型「2.0Si」を発表した。
 Siで最も注目を集めたのは、パワーバルジ付きの専用ボンネット下に収められた新エンジンだった。B20Aの型式を名乗る1958cc直列4気筒ユニットは、1気筒あたり吸気バルブ2個/排気バルブ2個の4バルブとDOHCのヘッド機構、内側支点スイングアーム方式やハイバルブリフト(10.0mm)機構、センタープラグ+ペントルーフ型の燃焼室を採用。燃料供給装置は電子燃料噴射システムのPGM-FIで、点火装置もやはり電子システムのPGM-IGを組み合わせる。エンジンマウントには独自設計の二層構造タイプを、冷却系にはオイルフィルターと一体化した水冷多板式オイルクーラーを装備。当時の2L自然吸気クラスのトップレベルとなる160ps/19.0kg・mのパワー&トルクを誇った。

 エンジン以外の高性能化も見逃せないポイントだ。トランスミッションにはギア比の最適化とクラッチサイズのアップを図った新設計の5速MT、各部の強度アップや油圧制御システムへのセカンダリーバルブボディの追加などを実施した2・3・4速ロックアップ機構付きフルオート4速ATを用意。足回りではダンパーおよびスプリングの強化と195/60R14タイヤの装着を実施する。また、外装ではパワーバルジ付きボンネットのほかに大型エアロバンパーや専用フロントグリル、内装では新デザインの大型3眼メーターや本革巻きステアリングホイール、オフブラックのバケットシート(運転席は上下60mm無段階調整ランバーサポート付)を装備していた。

スペシャルティカーとしては異例の生産累計60万台超を達成

 ホンダのスポーツイメージを象徴する上級スペシャルティカーとして、さらにお洒落で洗練されたデートカーとして、市場で高い人気を獲得した2代目プレリュード。デビューから4年5カ月あまりが経過した1987年4月になるとフルモデルチェンジが行われ、“INTERMEDIA”のキャッチを冠した第3世代に移行する。新型は好評を博した2代目のスタイリングイメージを踏襲したうえで、4輪操舵システムの“ホンダ4WS”といった新機軸を多数盛り込むという正常進化の方策をとっていた。
 2代目プレリュードは、当時のスペシャルティカーとしては異例の生産累計60万台超を成し遂げた傑作。1980年代の日本の自動車史を語る際に欠くことのできない名車である。

COLUMN
CMでも話題を集めた歴代プレリュード
 2代目プレリュードの『ボレロ』をBGMに使ったCMが話題を呼んだことを本文で紹介したが、2代目以外の歴代プレリュードもCMの演出は非常に凝っていた。初代(1978年11月デビュー)は名F1ドライバーのジョン・サーティースをメインキャラクターに起用し、スポーティでシックな映像に仕上げる。3代目(1987年4月デビュー)は映画『地下室のメロディ』のテーマ曲を使い、映画のプロモーション映像風に仕立てた。4代目(1991年9月デビュー)は不世出のF1ドライバーで、当時ワールドチャンピオンに君臨していたアイルトン・セナを起用。F1ファンのみならず、女性からも熱い支持を集めた。