アコード 【1985,1986,1987,1988,1989】

世界初を満載したワールドセダン

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洗練の空力フォルムで魅了

シビックの上級車種として、3ドアハッチバックと言うスタイルで1976年にセンセーショナルなデビューを飾ったアコードは、1977年10月に3ボックススタイルの4ドアセダンをシリーズに加えるなど順調な発展を遂げていた。続く2代目の1980年代にはアメリカのオハイオ工場での生産も開始され、当時日本車としてはアメリカ市場で最多販売車種となるほどの人気を獲得していた。そして、1985年6月に3代目へとフルモデルチェンジされた。

 3代目で大きく変わったのは、ホイールベースが150㎜延長されると共に、全長と全幅が一回り大型化され、室内スペースが格段に広くなったことだ。特に新しくシリーズに加えられたロングルーフ・スタイルのエアロデッキでは、後席のスペースは30mmも長くなっている。タカが3㎝だが、この差は大きい。また、量産型乗用車としては、当時最も空力的に洗練されたスタイリングとなっており、空気抵抗係数は、4ドアセダンでCd=0.32、ルーフの長いエアロデッキではCd =0.34となっていた。今日ではきわめて常識的な値だが、当時としては驚異的なものだったのである。それを助けたのが、極端に低くなったエンジンフードとモーター駆動によるリトラクタブル・ヘッドライトの採用、さらに、サイドウィンドウをボディ面と連続させたことによる空気抵抗の減少などであった。この空気抵抗減少の手法は、アコードをベースとしたスペシャルティクーペ、プレリュードにも採用されていた。

足回りに世界初のシステム採用

 エンジンは5種あり、車種とグレードによって使い分けられる。新設計の直列4気筒DOHC16Vは1958㏄と1834㏄の2種で、ホンダ独自の電子制御燃料噴射装置付きおよびCVキャブレター装備のものに分けられた。さらに、この他従来からの排気量1829㏄の直列4気筒SOHC12Vエンジンもある。出力は110psから160psまでと幅広く、パワーに不足を感じることはない。
 トランスミッションはマニュアル型5速とホンダマチックと呼ばれた4速フルオートマチックの2種で、シフトレバーはいずれもフロアシフトとなっていた。サスペンションも全くの新設計となり、前後輪ともFF車としては世界初のダブルウィッシュボーン/コイルスプリングを採用している。サスペンションのストローク量が大きくなったことで、乗り心地や操縦安定性は大幅に向上している。ブレーキは上級版が4輪ディスクブレーキとなり、特に前輪にはベンチレーテッドタイプが採用された。

アコードの世界観を確立!

 インテリアの装備の充実ぶりには目を見張るものがあり、赤外線を使ったリモートコントロール・キー、シートベルト・フィーダー(ドアの開け閉めに連動してシートベルトの金具が起き上がる装置)までが備わる。価格は最も安価な4ドアELの122万7千円から、エアロデッキ2.0Siの200万7千円までと、このクラスとしては平均的なレベルにある。
 小型車シビックを超える本格的な5人乗りセダンとして計画されたアコードも、第三世代に至ってようやくホンモノになったと言える。この当時、アメリカ生産も好調で、ホンダのメーカーとしての基盤を確立する原動力となったのである。主力セダンながら、スペシャルティカーを思わせる大胆なスタイリングと、ダブルウィッシュボーン式足回りを組み合わせた先進性は、他のクルマでは味わえない、アコードならではの世界観を持っていた。モデルを発表するごとに新たな価値観を提案していた1980年代のホンダを象徴する1台。それが3代目アコードである。