2011東京モーターショー/三菱 【2011】
新しい “環境対応車”と“世界戦略車”を披露
2011年12月に催された第42回東京モーターショーにおいて、三菱自動車は先進の“環境対応車”と新興市場を中心とした“世界戦略車”をメインにブースを展開した。
経営再建中の三菱自動車は、世界的な経済混乱を契機に大きく変化した世界の自動車需要構造に対応するべく、2011年度から2013年度までの3年間を対象とした新たな中期経営計画の「ジャンプ2013」を策定。商品面では、電動車両を2015年度までに計8車種投入するほか、燃費向上技術として2013年度からハイブリッド車を市場投入するなど、環境負荷の低減に取り組む。また、地域専用車を廃止し、とくに新興国での需要が見込める小型車やSUV(スポーツユーティリティビークル)などの世界戦略車に経営資源を集中することで、効率的な開発および車種展開を図ることとした。
第42回TMSでは、この商品戦略の柱となるプラグインハイブリッドの環境対応車と小型クラスの世界戦略車を世界初公開。企業コミュニケーションワードであるDrive@earth“地球を走る。地球と生きる。”を、革新の2モデルによって具体的に披露した。
環境対応車は「MITSUBISHI Concept PX-MiEV」を名乗る。長距離移動を要求される中型乗用車クラス以上のカテゴリーに対して三菱自動車が提案する電気自動車派生型のプラグインハイブリッド車のConcept PX-MiEVは、パワートレインを2L直列4気筒DOHC・MIVECガソリンエンジン(70kW)と永久磁石式同期モーター(60kW、フロント/リア)、大容量バッテリーで構成。いわゆるツインモーター式4WD機構には、車両運動統合制御システムのS-AWC(Super All Wheel Control)を組み込んだ。
充電はAC100V/AC200Vによる普通充電と急速充電の2種類で実施。また、蓄えた電力はコンセントを介してアウトドアでの電気製品や非常時の電源供給などに利用でき、さらにV2H(家庭への電力供給)にも適応させる仕組みとした。
走行パターンは、バッテリーに蓄えた電力のみを使用してツインモーターで走るEV走行モード、エンジンを発電専用として動かして、その電力も使ってモーターで走行するシリーズ走行モード、高速走行時にエンジンでダイレクトに駆動し、状況に応じて駆動用バッテリーの電力でモーターが駆動をアシストするパラレル走行モードを設定。目標走行距離は、EV走行で50km以上、航続可能距離で800km以上とし、目標複合燃料消費率は60km/L以上と謳っていた。
披露されたConcept PX-MiEVはその後に入念なテストを重ね、2012年12月に「アウトランダーPHEV」として発表、翌2013年1月に販売を開始した。
世界戦略車は「ミラージュ」と称する。「新興国におけるエントリーカー(経済性)」と「先進国における低燃費/低CO2車(環境性能)」というニーズを両立させる小型、低価格、低燃費をコンセプトに据えた新世代のコンパクトカーである。高効率パッケージを採用したうえで全長3710×全幅1665×全高1490mmの5ドアハッチバックボディで構成。搭載エンジンは1L直列3気筒DOHC・MIVECガソリンエンジンで、CVTのトランスミッションを組み合わせる。制御機構としてオートストップ&ゴー(AS&G)やbraking energy regeneration system(回生ブレーキシステム)を装備し、また空力デザインや軽量化、低転がり抵抗タイヤなどを採用して、目標燃費性能はクラストップレベルの30km/Lを掲げていた。
参考出品されたミラージュは後に量産化への道程を歩み、2012年3月よりタイの現地法人「Mitsubishi Motors Thailand」で生産を開始。日本では6代目ミラージュとして2012年8月に販売を開始した。
主役となったMITSUBISHI Concept PX-MiEVとミラージュのほかにも、三菱ブースでは同年12月に発売予定の軽商用電気自動車「MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」や欧米にも展開をはじめた新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」、最新の低燃費化技術である新型MIVECエンジンとAS&Gを組み合わせて搭載したコンパクトSUV「RVR」、クリーンディーゼルエンジン搭載の本格SUV「パジェロ」などが展示される。また、低炭素社会の実現や全国的な電力需給逼迫への対策として家庭内におけるエネルギーを最適に使用し、住む人を快適にするためのHEMS(Home Energy Management System)、走行時も含め車両状態を常時モニタリングし、つねに充電量を最適に制御する三菱自動車独自のEIS(Electric Vehicle Integration System)を加えた統合システムを「MiEV ハウス」で紹介。さらに、EVおよびPHEVの駆動用バッテリーから1500Wまでの給電を可能とする大電力給電装置を利用した「MiEV カフェ」も披露した。