コスモ 【1991,1992,1993,1994,1995】

華麗なるBIGロータリー・スペシャルティ

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第4世代スーパーGTの誕生

 世界初となった2ローター・ロータリー・エンジンを搭載した初代コスモ・スポーツが登場してから23年を経た1990年3月、今度は3ローター・ロータリー・エンジンにシーケンシャル・ツインターボチャージャーを組み合わせたスーパーGTクーペとして、コスモとしては第4世代となるユーノス・コスモが登場した。販売店系列の関係から「ユーノス」を名乗ったが、マツダ製のモデルであることは間違いない。コスモの名を持つモデルとしては、実に8年振りとなるフルモデルチェンジである。全長4815㎜、全幅1795㎜、全高1305㎜、ホイールベース2750㎜という堂々たるサイズは、当時の国産車として最大級。国産車に直接的なライバルはなく、国際的にもジャガーXJSやBMW850i、メルセデス・ベンツSECといったトップエンドモデルに比類する高級スペシャルティモデルだった。

 スタイリングはロングノーズ、ショートデッキの2ドア/2+2クーペ構成で、典型的な高級クーペのもの。小振りなエンジンには不釣り合いなほど長いボンネットは、主にスタイリング上のバランスに由来する。ボディバリェーションは1種で、エンジンの仕様によって2種のモデルがある。グレードはエンジンごとに内装や装備の違いでタイプEとSの2仕様。エンジン以外の主要なメカニズムは共通だった。

国産最強のBIGトルクを発揮

 搭載されるエンジンは、最も強力な新設計の3ローターの20B型と従来からの2ローター・13B型から選べた。 20B型は、新開発の水冷3ローター・ロータリー・エンジンで、吸・排気はサイド・ポート方式による。排気量は単室容量654㏄X3で1962㏄。これに電子制御燃料噴射装置と低速域と高速域に分かれて過給するシステムを持つ2基のシーケンシャル・ターボチャージャー、9.0の圧縮比から280psa/6500rpmの最高出力と41.0㎏・m/3000rpmの最大トルクを得る。同様にシーケンシャル・ターボチャージャーを備える2ローターの13B型では230ps/6500rpmと30.0㎏・m/3500rpmをマークした。

 レシプロ・エンジンで考えると20B型は4リッター・クラス、13B型で3リッター・クラスに相当するパフォーマンスを誇った。とくにトルクは国産車中最強クラスである。トランスミッションは4速オートマチックのみでマニュアルの設定は無い。駆動方式はオーソドックスなフロントエンジン、リアドライブ。サスペンションは前がダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、後がマルチリンク/コイルスプリングの組み合わせ。ブレーキは4輪ディスクとなる。タイヤは215/60R15サイズを装備。

ル・マン制覇の血統が生きる

 安全装備としては、エアバッグは標準装備されず、3チャンネルのABS(アンチブロッキング・ブレーキ・システム)が付けられているのが時代性を表している。燃費は20Bエンジンでも10モードで6.1㎞/Lと発表されていた。車重が1610㎏と重いことを考えれば十分許せる範囲内にあると言って良い。だが、相変わらず燃費が良くないという評価がついて回っていた。価格は465万円で、これはフェアレディZ300ZXツインターボやR32型スカイラインGT-Rなどよりも高価だった。

 ユーノス・コスモは、それ自身の市場性を高めることよりも、永年培ってきたロータリー・エンジンとユーノスというブランドの知名度を揚げるためのイメージリーダーとしての役割を与えられていたのである。1991年、ロータリー・エンジンを搭載したマツダ787Bが見事にル・マン24時間レースに総合優勝し、ロータリー・エンジンの性能の確かさ再び立証されたのもユーノス・コスモの勲章となった。